秋の食変光星、アルゴルとカシオペヤ座RZが見ごろ
【2022年10月11日 高橋進さん】
秋の変光星といえば脈動変光星のくじら座ミラが有名ですが、食変光星のペルセウス座アルゴルもよく知られた変光星です。宵から深夜に北東の空に高くなり、見やすい季節を迎えます。
ペルセウス座βアルゴルは2.867日(2日20時間49分)ごとに、平常光度の2.1等から3.4等にまで減光する変光星です。この減光が連星系での隠しあいで起こっていることを明らかにしたのは、18世紀のオランダのアマチュア天文家グッドリックでした。今日の天文学では、太陽の2.7倍サイズ(直径)のB型の主系列星の周りを太陽の3.5倍サイズのK型準巨星が公転していて、地球から見たときの2星の重なり具合によって約3日ごとの減光が起こると考えられています。
観測は肉眼で周囲の星と明るさを比べてみるだけでできます。最も暗くなる極小の、予報日時の前後を目測すると、実際の極小時刻が求められます。予報と観測から得られる極小時刻とは多少異なりますが、逆に言えばこのずれを観測することによってアルゴルで何が起こっているかを明らかにできるのです。平常光度から極小になるのにおよそ5時間、そこからまた平常光度に戻るのに5時間で合計10時間の現象ですが、これを全部観測しようとすると大変ですので、まずは極小予報の前後1~2時間ずつくらい観測してみることをお勧めします。5分おきくらいの目測で十分です。星図の星の等級と比べて見ながらぜひチャレンジしてみてください。
もう一つ、秋の食変光星でお勧めなのはカシオペヤ座RZ(RZ Cas)です。こちらは周期1.1953日(1日4時間41分)で、平常光度の6.2等から7.7等にまで減光します。観測には双眼鏡が必要ですが、平常光度から極小まで2時間ほど、元に戻るのも2時間ほどとアルゴルの半分ほどの時間で観測できることから、多くの観測者に人気のある変光星です。
一般的に食変光星の極小時の光度曲線は、伴星が主星を完全に隠してしまう皆既食の場合は平坦な底が見られますが、伴星が主星を完全に隠しきらない部分食の場合は、平坦な底がなく尖った形状になります。ところがカシオペヤ座RZでは、その時々で皆既食になったり部分食になったりするという現象が観測されてきました。
その原因については長らく謎のままでしたが、1999年に西はりま天文台(兵庫県)の鳴沢真也さんたち多くの日本人観測者によって、主星が22分の周期で脈動するたて座デルタ型変光星であるために皆既食、部分食の両方が見られることが明らかにされました。
これからの季節、カシオペヤ座も宵空で高く見ごろです。日本人とも関わりの深い食変光星であるカシオペヤ座RZも、ぜひ一度観測してみてください。
〈関連リンク〉
- 日本変光星研究会
- VSOLJ Variable Star Bulletin
- アストロアーツ:
- 星ナビ.com:2022年1月号 Observer's NAVI「明るさを変える星々のふるまい」 2022年の変光星の概況
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