西村さん、へび座に新星を発見

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静岡県の西村栄男さんが2月22日、へび座に12等台の新星を発見した。

【2020年2月26日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

へび座はへびつかい座によって頭部と尾部に分断された星座で、へび座の尾部は天の川の方向にあり、これまでにもいくつもの新星が発見されています。そんなへび座の中に新星が発見されました。

新星を発見したのは静岡県掛川市の西村栄男さんです。西村さんは2月22.839日(世界時、以下同。日本時では23日5時8分ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、へび座の中に12.1等の新天体を発見しました。この天体は西村さんが発見2日前の20.860日に撮影した画像には写っておらず、発見のこの2日ほどの間に明るくなった天体であることがわかりました。

また、群馬県の小嶋正さんが22.811日に撮影した画像にも、この天体が11.8等で写っていたことがわかりました。

千葉県の野口敏秀さんや清田誠一郎さんの観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりで、赤い色をしています。

赤経  18h10m42.32s
赤緯 -15°34′18.6″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:清田さん)

へび座の新星の位置
へび座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

この天体の分光観測は、2月23.38日にラスカンパナス天文台の口径2.5mデュポン望遠鏡で、23.862日には京都大学岡山天文台の口径3.8mせいめい望遠鏡でそれぞれ行われました。スペクトルにはP Cygniプロファイルを示す幅の広い水素のバルマー系列や1階電離した鉄などの輝線が見られたことから、極大直後の古典新星であることが判明しました。

P Cygniプロファイルの吸収成分は、輝線成分に対して秒速5000kmほど青方偏移しており、比較的速い減光を示す新星であると考えられます。この新星は23.8日には13等ほど、24.3日には13.8等、25.5日には14.5等と急速に減光したことが観測されました。今後の明るさの変化が注目されます。

西村さんの新天体発見は昨年10月以来となります。