西山さん椛島さんたち4人がたて座に新星を発見

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福岡県の西山浩一さんと佐賀県の椛島冨士夫さんのチーム、静岡県の西村栄男さん、静岡県の金子静夫さんが10月29日、たて座に9等台の新星を発見した。

【2019年10月31日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

わし座といて座の間にある小さな星座のたて座は、天の川の中にあるため、これまでにも多数の新星が発見されています。そのたて座の中に明るい新星が発見されました。

新星を発見したのは米・オハイオ州立大学を中心とするAll-Sky Automated Survey for Supernovae(ASAS-SN, "Assassin")のグループと、福岡県久留米市の西山浩一さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫さんのチーム、静岡県掛川市の西村栄男さん、同じく静岡県掛川市の金子静夫さんです。

ASAS-SNは10月29.05日(世界時、以下同。日本時では10時12分ごろ)に11.5等の新天体(ASASSN-19aad = AT 2019tpb)を発見しました。また、西山さんと椛島さんは10月29.397日(日本時18時32分ごろ)、西村さんは29.421日(日本時19時6分ごろ)、金子さんは29.462日(日本時20時5分ごろ)に撮影した画像から、それぞれ独立に9等級の新天体を発見しました。西山さんと椛島さんの観測によると、この天体の位置は以下のとおりです。

赤経  18h39m59.72s
赤緯 -10°25′41.5″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:板垣公一さん)

たて座の新星の位置
たて座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

この天体は発見後も増光を続け、翌30日には8等級にまで増光したことが報告されました。

大西洋ラ・パルマ島にある口径2m Liverpool Telescopeや、インドの2m Himalayan Chandra Telescopeによる分光観測から、この天体のスペクトルにはP Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列とパッシェン系列の他、中性のヘリウムや酸素、1階電離した炭素や窒素の輝線が見られることがわかり、この天体が古典新星であることが確認されました。