2等星に陥落!ベテルギウス減光のゆくえ

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昨年末より記録的な減光を見せているオリオン座のベテルギウスの明るさが、1.5等級よりも暗くなったことが確実となった。

【2020年2月5日 高橋進さん】

オリオン座のα星で、全天でも最も有名な1等星の一つでもあるベテルギウスが昨年秋から暗くなってきていると話題になっていましたが、とうとう2等星になってしまいました。この後どのように推移していくか非常に興味深いところです。

オリオン座のベテルギウスは進化の進んだ赤色超巨星です。脈動により0.3等から0.9等くらいまでをおよそ400日くらいの周期で変光する半規則型変光星です。このベテルギウスが昨年の9月ごろから減光を始めました。12月には1.0等を切り、観測史上最も暗い減光などと言われました。

その後も10日で0.1等暗くなるというスピードで急速な減光が進み、1月30日に大金要次郎さんが行った光電測光のV等級で1.54等になり、眼視観測者からも1.5~1.6等の報告が相次ぎ、四捨五入でベテルギウスが2等星になったのが確実になりました。

ベテルギウスの光度曲線
ベテルギウスの光度曲線(作成:高橋さん/データ出典:日本変光星観測者連盟)

今回の減光の原因については前述の脈動による減光に加えて、表面に酸化チタン分子ができたためなど、様々な説が挙げられていますが、まだ明らかではありません。また、ベテルギウスがこの後さらに暗くなるかどうかもわかりません。観測者からは、以前に比べると少し減光速度が緩やかになったのではとの声も聞かれます。脈動の周期を400日くらいとすると、そろそろ極小を過ぎるのではとも思われます。

いずれにしても今後のベテルギウスがどのような光度変化を見せるのか目を離せないところです。ぜひこの機会に多くの皆さんにベテルギウスをご覧いただきたいと思います。おうし座のアルデバラン(α星)が0.9等、オリオン座の左肩のベラトリクス(γ星)が1.6等、ふたご座の弟ポルックスの足元のアルヘナ(γ星)が1.9等ですので、これらの星と見比べて目測してみてください。

ベテルギウスの周辺の星図
ベテルギウスの周辺の星図(「ステラナビゲータ」で星図作成)

星ナビ2020年3月号「終末のベテルギウス」
2月5日発売「星ナビ」2020年3月号 News Watch。小林仁美さんの解説記事

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