上昇する「はやぶさ2」が自撮りした「遙かなる影」

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小惑星探査機「はやぶさ2」の着陸リハーサルで、小惑星リュウグウの表面近くから上昇する間に撮影された「影の自撮り」動画が公開された。

【2018年11月5日 JAXA

10月25日に行われた「はやぶさ2」の第3回着陸リハーサル(TD1-R3)では、11時38分(日本時間)に高度約12mまで降下することに成功し、これまでに到達した最低高度の記録を更新した。「はやぶさ2」の機体の高さはサンプラーホーン(長さ約1m)を含めておよそ2.3mなので、これはリュウグウ表面まであと「機体5個分」の高さを残すのみという、表面ぎりぎりの高度まで降りたことになる。

最低高度に到達した後、「はやぶさ2」が上昇する間に、機体の側面に取り付けられている小型モニタカメラ(CAM-H)で連続撮影された画像が動画として公開された。

CAM-Hから撮影された連続画像
上昇する「はやぶさ2」の小型モニタカメラ(CAM-H)で撮影された画像。最低高度到達の約10分後、11時47分(高度約21m)から5秒ごとに撮影されたもの。左下に「はやぶさ2」の影が映っている。中央に写っているのはサンプラーホーンの先端(提供:JAXA)

太陽光はほぼ平行光線とみなせるので、リュウグウの表面に映っている「はやぶさ2」の影の大きさは、表面に着陸したときの機体のサイズ(太陽電池パネルを含めて約6m×4.2m)と同じだ。機体の影の前方に写っている白っぽい岩塊は直径4〜5mとみられる。撮影時の上昇速度は毎秒約52cmだった。

CAM-Hは、JAXAが2012年度に市民から受けた寄付金から約1176万円を使って製作し、「はやぶさ2」に追加搭載された機器だ。「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーの津田雄一さんは、「皆さんの力で実現したカメラが、リュウグウ探査の技術と科学に、大きな魅力を加えてくれました。ご寄付を頂いた皆さまに改めて感謝するとともに、これからの運用にもどんどん使わせていただこうと思います」とコメントしている。

また、ミッションマネージャーの吉川真さんは、「CAM-Hで、あたかも自分自身がリュウグウ上を低高度で飛行しているかのような画像が撮影できるとは思ってもいませんでした。どこかの砂漠の上を飛行しているかのような画像ですが、これは3億kmも離れた小さな小惑星の上空なのです。このようなカメラの搭載をサポートしていただきました皆さま、どうもありがとうございました」とコメントしている。

(文:中野太郎)