生まれたばかりの系外惑星の体重測定

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天文衛星「ガイア」と「ヒッパルコス」の観測データから、生まれたばかりの系外惑星の質量が初めて明らかにされた。

【2018年8月27日 ヨーロッパ宇宙機関

地球から63光年の距離に位置する、がか座の4等星「がか座β星」は、誕生から約2000万年ほどしか経っていない非常に若い恒星だ。2008年にヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)が撮影した画像から、この星の周りに木星のようなガス惑星が発見された。

がか座β星系
ヨーロッパ南天天文台で撮影された、がか座β星系。2つの望遠鏡による画像を合成。画像中央にがか座β星が位置し、そのやや左上方に系外惑星がか座β星 bが写っている(提供:ESO/A-M. Lagrange et al.)

オランダ・ライデン大学のIgnas SnellenさんとAnthony Brownさんは、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星「ガイア」と「ヒッパルコス」の観測データを用いて、がか座β星の位置と動きを詳細に調べた。そして、系外惑星がか座β星 bの質量が木星の9~13倍であると見積もった。生まれたての惑星の質量が求められたのは初めてのことである。

惑星の質量を見積もる方法としてよく使われるのは、主星の視線速度を測定するという手法だ。視線速度とは、地球から見て天体が近づいたり遠ざかったりする動きの速さのことで、この動きは主星を公転する惑星の重力の影響を受けるため、そこから惑星の質量を見積もることができる。しかし、がか座β星の場合、恒星が膨らんだり縮んだりしているため、視線速度を正確に測ることが難しい。

そこでSnellenさんたちは、がか座β星が天球上を移動した様子から、惑星の重力の影響を調べることにした。

天球上の星の位置は複数の理由によって変化する。一つは星が宇宙空間を実際に移動することによる「固有運動」で、地球からは直線的な動きとして観測される。また、地球が太陽の周りを公転することにより星の見かけの位置が変化する「視差」は、地球からは円運動として観測される。星の動きは一般的に、この直線運動と円運動の合成として表される。

さらに、もし星の周りに惑星があれば、その重力の影響によって、惑星がない場合に星が運動したはずの経路から少しだけずれた位置を星が動くことになる。そのわずかなふらつきを測定すれば、惑星の重力の影響(すなわち質量)を見積もることができるというわけだ。

恒星の動きの説明図
恒星の動きの説明図。固有運動だけであれば星は直線の点線上を動くように見えるが、視差の影響のために円運動が加わり、らせん状の点線に沿って動くように見える。さらに、系外惑星の重力の影響を受けると、らせんの左右(茶色の部分)にふらつく動きとして観測される(提供:ESA)

今年4月に公開されたガイアの第2期データには、22か月間で約30回に及ぶがか座β星の観測データが含まれていたが、これだけでは不十分だった。Snellenさんたちはさらに、約25年前にヒッパルコスが観測した111回の観測データを組み合わせて、今回の結果を得た。「ガイアとヒッパルコスのデータを合わせて、長期と短期の固有運動の違いを見ることで、惑星が主星に及ぼす影響がわかります」(Brownさん)。

惑星がか座β星 bは主星と同様に誕生から2000万年ほどの生まれたての惑星であることから、今回の成果は若い惑星の形成や進化を理解する手掛かりを与えてくれる。また、ガイアの大量のデータから星の見かけ位置の変化を調べることで、多くの系外惑星が発見されることを期待させる成果ともなった。