M82銀河に史上最も明るいX線パルサー

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おおぐま座の銀河M82に、史上最も明るいX線パルサーが見つかった。ブラックホールが正体と考えられていたX線源で、ブラックホールよりも軽い中性子星パルサーがどうやって膨大なエネルギーを放射するのか、この発見により新たな謎が生まれている。

【2014年10月10日 NASA

おおぐま座の方向1200万光年彼方にある銀河M82の超新星を観測していたNASAのX線天文衛星「ニュースター」が、同じ銀河に強いX線のパルス(明滅)をとらえた。その位置にはひじょうに明るいX線源(ULX:超高輝度X線源)「M82 X-2」があることが知られていたが、これが謎の始まりとなった。

すべてのULXの正体は、伴星から物質を奪って光る中間質量(太陽数百個分)のブラックホールであると考えられていた。しかしブラックホールは明滅しない。研究者らは最初、このパルスがM82 X-2ではなく別のX線源からのものと疑ったが、天文衛星「チャンドラ」と「スウィフト」のX線観測により確かにM82 X-2からのパルスであることが確認された。

このような明滅天体(パルサー)の正体は、重い星が超新星爆発を起こしたあとに残る高密度天体「中性子星」だ。電波からガンマ線まで広い波長にわたる放射が、星の高速自転とともに地球からは灯台のように明滅して見える。M82 X-2は太陽1000万個分もの膨大なエネルギーを放射しているが、ブラックホールほどの質量を持たない中性子星がなぜこれほど明るいのか、研究者らは首をひねっている。どうやら理解しがたいほどの勢いで伴星からの物質を重力で引き寄せてエネルギー源にしているようだ。

研究者らは3機の衛星でさらにM82 X-2を調べるとともに、他のULXを観測して同じようなパルサーがないか捜索を行う。

M82銀河とX線源M82-X2
M82銀河とX線源M82-X2(ピンク)(提供:NASA/JPL-Caltech/SAO/NOAO)

M82-X2のパルス
1.37秒周期で明滅するM82-X2のX線パルス。ニュースターの高い感度と時間精度が今回の発見につながった(提供:NASA/JPL-Caltech)