メイブンが解明した、太陽風による火星大気のはぎ取り

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NASAの火星探査機「メイブン」の観測から、かつては温暖で水が存在したとみられる火星が現在のように冷たく乾燥した惑星となった過程において、太陽風による火星大気のはぎ取りが重要な役割を果たしたらしいことが解明された。

【2015年11月11日 NASAMAVEN

探査機「メイブン」の観測データから、火星の大気は太陽から吹き出したプラズマ流(太陽風)によって侵食され、毎秒約100gの割合でガスが宇宙空間へ放出されていることが示された。たった100gと思うかもしれないが、長い年月が経てば相当な量となる。

太陽風によって火星の上層大気からイオンがはぎ取られる想像図
太陽風によって火星の上層大気からイオンがはぎ取られる想像図(提供:NASA/GSFC))

メイブンは、太陽風と紫外線によって火星の上層大気からどのようにガスがはぎ取られるのかを調べてきた。最新の調査結果によると、大気の散逸は3つの異なる領域で起こることが示唆されている。その割合をイオンの量で測ると、太陽風の尾の下手(火星の夜の側)から約75パーセント、火星両極の上空から25パーセント、火星を取り巻いて広がるガス雲から微量というぐあいだ。

今年の3月に複数の激しい太陽嵐が火星に衝突した際、大気の散逸が加速したことも明らかになっている。こうした散逸により、火星の気候変動が引き起こされたのだろう。「太陽が若く、もっと活発に活動していた数十億年前には、散逸の割合ははるかに大きかったと考えています」(メイブン主任研究員 Bruce Jakoskyさん)。

火星には、河川によって削られてできたように見える谷のような特徴や、液体の水の存在なしには作られない堆積した鉱物など、過去に水が豊富に存在していたと思われる跡が発見されている。こうした特徴から、数十億年前の火星は現在よりはるかに厚い大気を持ち、河川や湖、さらには液体の海ができるほど温暖であったと研究者は考えている。

最近、NASAの探査機「マーズ・リコナサンス・オービター」によって、液体の塩水の存在を示唆する、季節変化と共に現れる水和鉱物(含水鉱物、含水塩)が観測された(参照:アストロアーツニュース「現在の火星に液体の水が流れている強力な証拠」)。しかし現在の火星の大気は、表面に液体の水を長く保つには温度が低く薄すぎる。「太陽風による侵食は大気散逸の重要なメカニズムであり、火星の著しい気候変動の主たる要因として重要だったわけです」(メイブン・プロジェクトの研究者 Joe Grebowskyさん)。

2013年11月に打ち上げられたメイブンは、どのようにして太陽が火星の大気に変化をもたらしたかを明らかにすることを主眼とした初のミッションである。目指すゴールは、火星の大気と水がどのくらい宇宙空間へ放出され失われたのかを解明することだ。観測開始からちょうど1年が経ち、11月16日で初期ミッションを完了する。

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