ティーカップの中のブラックホール嵐

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VLA を使った観測により、宇宙においてはありふれていてあまり面白みがないと思われてきた楕円銀河で、実は超巨大ブラックホールによる活発な活動が起こっていることが明らかになった。

【2015年2月12日 Phys.org

銀河中心の超巨大ブラックホールから生じる激しいジェットや高速風は、星形成に必要な銀河内の物質を取り去ったり破壊したりすると考えられている。電波でとても明るい銀河では、実際にジェットによる現象が起こっている直接的な証拠が得られてきた。しかし、こうした銀河は数が少ない。宇宙全体の銀河について知るためには、活動はそれほど激しくないが数は多い楕円銀河でも同じようなプロセスが発生するかどうかを調べる必要がある。

英・ダーラム大学のChris HarrisonさんらはVLA(超大型干渉電波望遠鏡)を使い、うしかい座の方向11億光年彼方の銀河「J1430+1339」(通称「ティーカップ銀河」)を観測した。ハッブル宇宙望遠鏡の観測で、この銀河は見た目には楕円銀河である証拠が得られているが、周囲はガスで取り囲まれていて、星形成銀河から形を変えつつあるとみられている。

ティーカップ銀河の擬似カラー画像
ティーカップ銀河の擬似カラー画像(緑:恒星の光、青:ガス、赤・黄:電波放射、明るい黄色:ジェット)(提供:C. Harrison, A. Thomson; Bill Saxton, NRAO/AUI/NSF; NASA)

VLAの観測から、銀河には3万から4万光年の大きさの泡構造が中心核の両側にそれぞれ広がっており、長さ約2000光年のジェット構造も存在していることがわかった。可視光で観測すると秒速約1000kmまで加速されたガスが存在しており、ジェットの位置と一致している。

「ティーカップ銀河の中心で、ブラックホールの活動によってある種の嵐が発生していることがわかりました。強力なジェットがガスを加速し、またもっと大きなスケールではジェットとガスが衝突しています。このようなプロセスは電波で明るい銀河だけでなく、宇宙にありふれた電波で暗い銀河でも起こっていることが、VLAの電波観測から明らかになったのです」(英・ダーラム大学のAlasdair Thomsonさん)

HarrisonさんらはさらにVLAで8個の銀河を調べ、同じような特徴が見られるか、今回のプロセスが一般的なものかどうかを解析中だ。