岩石惑星の主材料は原始惑星系円盤の外側へ運ばれる

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地球のような岩石惑星の主材料であるシリケイト鉱物が、原始惑星系円盤の内側で生成された後、低温の外側領域まで運ばれていることを示唆する結果が、2機の宇宙望遠鏡の赤外線観測から得られた。

【2026年6月11日 JAXA宇宙科学研究所

生まれたばかりの星の周りには、ガスやダストで構成される原始惑星系円盤が広がっている。この円盤内で惑星が形成されると考えられていて、円盤内のダストの組成とその変化を知ることが、惑星形成の過程を理解するうえで重要な手がかりになる。

原始惑星系円盤
原始惑星系円盤の例(提供:Richard Teague and the exoALMA Collaboration

JAXA宇宙科学研究所/東京大学の鮫島直人さんたちの研究チームは、おおかみ座の「Sz 96」とおうし座の「IP Tau」という2つの若い星の原始惑星系円盤をジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で観測し、赤外線天文衛星「スピッツァー」による過去の観測結果と比較した。鮫島さんたちが注目したのは、地球のような岩石惑星に多く含まれるシリケイト鉱物(ケイ酸塩)からの赤外線放射だ。

その結果、スピッツァーとJWSTで観測された中間赤外線スペクトル(シリケイト放射のプロット)が全体として変化していることが確認された。さらに、そのスペクトル変化をシリケイト鉱物の放射成分に着目して解析したところ、円盤表層にある鉱物の温度や存在量、結晶化度などが変化した可能性が示された。数年スケールで円盤構造が変化していることを示唆する結果である。

観測データ
スピッツァー(SST)とJWSTの観測データ。(左)Sz 96では非結晶質シリケイトの特徴が卓越する10μm付近はSST観測からJWST観測にかけて暗くなっているが、結晶質の特徴が見られる20μm付近では顕著な変化はない。(右)IP Tauでは中間赤外線スペクト全体が明るくなり、特に10μm付近で強く増光している(提供:Sameshima et al. (2026)をもとに作成)

また、両天体において結晶質シリケイトが非晶質シリケイトよりも低い温度を示すことも明らかになった。結晶質シリケイトは、もともと円盤の内側のような高温環境で加熱されて形成されると考えられていて、それが円盤の外側の低温領域まで運ばれたのかもしれない。円盤の中で物質が活発に移動し、再配置されている可能性を示す結果だ。

原始惑星系円盤の想像図
原始惑星系円盤の想像図。中心星の周りに塵でできた原始惑星系円盤が広がり、円盤外側の低温領域に結晶質シリケイトが多く存在する(提供:イラスト生成:ChatGPT(OpenAI)/編集:JAXA宇宙科学研究所/東京大学 鮫島直人)

「高温で生まれた結晶が低温の場所に存在する」という描像は、これまでのスピッツァーの観測からも示唆されてきたが、JWSTの観測と比較した今回の研究により、さらに確かなものとなった。惑星の材料となるダストの円盤内での進化を理解するうえで重要な成果といえる。

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