すばる望遠鏡の大規模探査データの第3期世界公開

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すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)」を用いた大規模観測プログラム「HSC-SSP」の第3期データが公開された。5億個を超える天体が含まれている。

【2021年10月7日 すばる望遠鏡

HSC-SSPは、国立天文台が東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構などと共同で進めている、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム(HSC)」を使った大規模な戦略枠観測プログラムだ。このプログラムでは満月約9個分の天域を一度に撮影できるHSCに可視光線から近赤外線までをカバーする複数のフィルターを組み合わせ、広い領域をカバーする「ワイド」と、より暗い天体までとらえる「ディープ」「ウルトラディープ」の3種類の深さでサーベイ(掃天観測)を行っている。2014年から合計330夜もの観測を行う計画で、これまでに2期のデータが研究者だけでなく一般にも公開されていた。

2021年8月31日に新たに公開されたHSC-SSPの第3期データには278晩分のデータが使用され、「ワイド」の領域670平方度と「ディープ」「ウルトラディープ」の領域合わせて30平方度が含まれている。これらの領域からは総計5億個を超える天体が検出されており、個々の天体の明るさ、位置、形状が正確に測定された。

HSC-SSPの観測時間は残すところ20晩ほどで、2021年内に観測を終了する予定だ。データの公開は次の第4期が最後となる見込みである。

約40億年前の巨大銀河団
約40億年前の巨大銀河団。銀河団は銀河の進化と暗黒物質を調べる絶好の対象といえる(提供:国立天文台/HSC-SSP)

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