すばる望遠鏡「星空ライブカメラ」本格運用スタート
朝日新聞社は2021年4月より、米・ハワイのマウナケア山頂にある国立天文台すばる望遠鏡のドームに「星空ライブカメラ」を設置し、YouTubeチャンネル「朝日新聞宇宙部」にてライブ配信を行っている。
9月13日(火)、朝日新聞社と国立天文台はこの「星空ライブカメラ」について設置と運用についての協定を締結し、ライブカメラの本格運用を開始した。
調印式の様子。協定の締結により、国立天文台と朝日新聞社が協力しさらに星空ライブカメラを発展させていきたいという。左から中村史郎さん(朝日新聞社代表取締役社長)、常田佐久さん(国立天文台台長)(撮影:星ナビ編集部)
星空ライブカメラが設置されているのは、すばる望遠鏡のドーム外周にある作業用の足場(キャットウォーク)の手すり部分だ。撮影にはミラーレス一眼レフカメラ「SONY α7S III」に大口径広角単焦点レンズ「FE 24mm F1.4 GM」を使用しており、朝日新聞が開発した防水ボックス内部に収められている。東の空を中心に8等星まで撮影でき、天の川や全ての惑星が確認できるほか、流星群の極大では1時間に100個を超える流星をとらえることに成功しているという。
記者会見で披露された星空ライブカメラ。左のカメラ(α7S III)と同じものが防水ボックス内に搭載されている(撮影:星ナビ編集部)
すばる望遠鏡のあるマウナケア山は気流が安定しており晴天率が高く、世界各国13基の望遠鏡が集まる世界有数の天体観測地である。山頂は一般人の夜間立ち入りが制限されているが、このライブ配信のおかげで、自宅にいながら世界有数の星空を楽しむことができる。さらに、2021年7月の「流星クラスター現象」や、2021年10月の「さいだん座『新』流星群の発見」など、流星研究の観点でも期待されている。
「星ナビ」2022年12月号では、計画を主導する東山正宜さん(朝日新聞社)による記事を掲載予定だ。
(左)星空ライブカメラ設置の経緯を語る東山さん(撮影:星ナビ編集部)/(右)星空ライブカメラによる成果の紹介を行う田中壱さん(国立天文台)
関連記事
- 2023/11/15 【特集】ふたご座流星群(2023年)
- 2023/11/10 2023年11月18日 しし座流星群が極大
- 2023/11/06 2023年11月13日 おうし座北流星群が極大
- 2023/10/19 宇宙から降り注ぐ宇宙線「空気シャワー」の可視化に成功
- 2023/10/13 天文学者と市民天文学者とのタッグで解明した銀河進化の謎
- 2023/10/13 2023年10月22日 オリオン座流星群が極大
- 2023/09/29 2023年10月9日 10月りゅう座流星群が極大
- 2023/09/19 クエーサーが生まれるダークマターハローの質量はほぼ同じ
- 2023/08/16 続々開催!夏から秋の星空・宇宙イベント2023
- 2023/08/10 2023年8月18日 はくちょう座κ流星群が極大
- 2023/08/04 2023年8月13日 ペルセウス座流星群が極大
- 2023/07/24 2023年7月31日 みずがめ座δ南流星群が極大
- 2023/07/13 【特集】ペルセウス座流星群(2023年)
- 2023/04/25 2023年5月6日 みずがめ座η流星群が極大
- 2023/04/21 アストロメトリと直接撮像の合わせ技で系外惑星を発見
- 2023/04/14 ブラックホールの合体で光は放たれるか?
- 2023/04/14 2023年4月23日 4月こと座流星群が極大
- 2023/04/11 すばる望遠鏡の探査が、宇宙の新しい物理を示唆
- 2022/12/27 2023年1月4日 しぶんぎ座流星群が極大
- 2022/12/16 2022年12月23日 こぐま座流星群が極大