再帰新星へびつかい座RSが15年ぶりに爆発、4等台に

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再帰新星として知られるへびつかい座RSが2006年2月以来15年半ぶりに明るくなっている。5等級前後で宵に南中するので見やすい。

【2021年8月10日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

新星は、白色矮星と低温度の主系列星ないし赤色巨星からなる連星系で、低温度星から白色矮星へ水素が流れ込み、白色矮星の表面に降り積もった水素がある臨界量を超えると爆発的な核燃焼を起こし、非常に明るくなる現象であると考えられています。

新星爆発では白色矮星の表面に積もった水素だけが飛び散るので、爆発後も白色矮星と低温度星は健在です。そのため、一度新星爆発を起こした後も、しばらくすると白色矮星の表面に低温度星から流れ込んだ水素が再び降り積もり、爆発を起こすのに十分な量になれば繰り返し新星爆発を起こすと考えられています。典型的な新星の場合、一度爆発してから再び爆発するまでには数千年から10万年程度の時間がかかるとされており、普通の新星では、人間の一生の間程度の時間では同じ星が複数回の新星爆発を起こすのを見ることはできません。

ところが、新星の中にはごく少数ですが、新星爆発を1年から数十年程度の間隔で繰り返す天体も見つかっており、これらは「反復新星(再帰新星、回帰新星)」と呼ばれています。天の川銀河内ではさそり座Uらしんばん座Tいて座V3890など、10個程度が知られています。このほど2006年2月の新星爆発以来15年ぶりに新星爆発を起こしたへびつかい座RSも、このような反復新星として知られていた天体です。

へびつかい座RSの位置
へびつかい座RSの位置。円内の数字は周囲の星の等級(63は6.3等級の意味)。画像クリックで表示拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

へびつかい座RSは1901年にW. P. Fleming(HDカタログの編纂などの業績でも有名な天文学者)によって、当時米・ハーバード大学天文台で行われていた写真による変光星サーベイから、1898年6月に増光を起こした変光星として発見されました。この天体はその後も1933年、1958年、1967年、1985年、2006年にも新星爆発を起こしたことが知られており(参照:「反復新星「へびつかい座RS」の21年ぶりの増光を、愛媛の成見さん、群馬の金井さんが検出」)、普段は11等前後の明るさですが新星爆発を起こすと4等級まで明るくなります。これまでの研究から、この天体は太陽の1.35倍程度の質量の白色矮星と赤色巨星からなる、公転周期453.6日の連星系であることがわかっており、共生星としても知られています。

今回の新星爆発では、ベルギーのE. MuyllaertさんやアイルランドのK. Gearyさん、ブラジルのA. Amorimさんらによって、8月8.91-8.93日(世界時、以下同。日本時では9日朝7時ごろ)にへびつかい座RSが5等級に明るくなったことが発見されました。さらに、その後の観測から、9.124日には4.8等ほどまで明るくなったことがわかりました。数日間は極大光度に近い4等台から5等程度の明るさで見ることができると思われます。ガンマ線宇宙望遠鏡「フェルミ」の観測によると、新星爆発に伴ってガンマ線でも明るくなったことも報告されました。今後の明るさの変化などが注目されます。