帰還から10年、「はやぶさ」の残した光
【2020年6月9日 星ナビ編集部】
「もう10年か」当時を経験した人は、「はやぶさ」の帰還を昨日のことのように覚えているだろう。2010年6月13日22時52分(日本時間)ごろ、小惑星探査機「はやぶさ」は地球大気圏へ再突入した。南オーストラリアの砂漠の上に広がる満天の星の中で、本体は小さな光点となって分裂しながら数回にわたり爆発的に輝き、燃え尽きた。小惑星イトカワの物質を運んできた帰還カプセルは星空にパラシュートを開いて、その中身を無事に届けた。
輝いて尾をひく「はやぶさ」の写真は新聞の一面を飾り、「はやぶさ」を扱った映画が3本、プラネタリウム番組にカプセル巡回展示、企画展に講演会…と空前のブームは1年近く続いた。インターネットによってファン同士が結びつき語り合い盛り上がったことも人気に拍車をかけた。日本の探査機とそのプロジェクトがこれほどまでに世間の関心を集めたのは初めてといっていい。
2010年のJAXA宇宙科学研究所相模原キャンパス一般公開では「はやぶさ」の模型に人が集まった
10周年を記念して、アストロアーツ/星ナビが進めている「おうちで天文」のコンテンツの一つとして、星ナビ2011年7月号(完売)の52ページにもおよぶ大特集『「はやぶさ」の残した光』を公開中だ。
また、有限会社ライブでは現在、当時公開され人気を博したフルドーム映像作品「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」(監督:上坂浩光)を期間限定で無償公開している。5月29日に始まった公開ですでに4万回に迫る再生数だ。加えて6月12日(金)からは、「はやぶさ最後の光」も公開される。これは「アストロガイド 星空年鑑 2011」のDVDに収録された番組で、上坂浩光監督が「はやぶさ」の帰還について語るドキュメンタリーだ。
「おうちで天文」では、星ナビ2011年7月号特集『「はやぶさ」の残した光』を無償公開中。打ち上げ前の「はやぶさ2」の紹介なども今読むと興味深い
「はやぶさ」の帰還で宇宙に関心をもったという小・中学生たちが、今、宇宙開発や天文学を志しているという話を聞く。そして今年2020年12月には、後継の「はやぶさ2」が帰還する予定だ。「はやぶさ2」のプロジェクトがここまで支援されたのもまた、「はやぶさ」がもたらした多大なる恩恵の一つと言える。この先のさらなる宇宙を知るために、今一度、あのときの「はやぶさ」の光を見つめておこう。
〈関連リンク〉
- アストロアーツ:
- おうちで天文 星ナビバックナンバーの一部を無償公開のほか、プラネタリウム動画等のコンテンツを公開中
- 「天文ニュースで振り返る「はやぶさ」特集」
- オンラインショップ “はやぶさ”地球帰還&“はやぶさ2”打ち上げ記念特集
- 有限会社ライブ フルドーム映像作品無償公開プロジェクト
- 「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」 ※YouTubeにて6月19日(金)まで
- 「はやぶさ最後の光 -オーストラリア帰還ドキュメント-」 ※YouTubeにて6月19日(金)まで
- JAXA宇宙科学研究所:
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