「はやぶさ2」、リュウグウ地表にタッチダウン成功!
昨年6月から小惑星リュウグウを探査中の「はやぶさ2」が、リュウグウ地表への最初のタッチダウン(着地)に挑んだ。
2月22日7時30分ごろ(日本時間)、タッチダウン直後に「はやぶさ2」が撮影したリュウグウ地表。中央付近の灰色の領域はタッチダウンにより変色した部分で、スラスターや弾丸で舞い上がった砂による可能性も指摘されている(提供:JAXA/東京大/高知大/立教大/名古屋大/千葉工大/明治大/会津大/産総研)
2月21日午後(日本時間、以下同)にリュウグウ上空20kmのホームポジションから降下を開始した同機は、22日午前6時ごろ高度約500mの位置に到達。着陸実施の最終判断を経て、完全自律運転によるタッチダウンを実行した。7時30分ごろ、リュウグウの赤道上にある着陸地点「L08-E1」に接地し、弾丸を地表に発射して舞い上がった地表物質を採取。その後すぐ離脱上昇に転じたとみられている。
7時48分、プロジェクトチームは探査機が予定通り上昇を開始したことを受信電波から確認。さらに8時42分には、地表サンプル採取のための弾丸発射コマンドが送信されたこと、探査機が正常な状態であることなどが確認され、タッチダウン成功の判断が下された。
プロジェクトマネージャの津田雄一さんは22日昼ごろに行われた記者会見で、今回のタッチダウン成功について「想定の中ではベストの状態で、思い通りの着陸ができた」と会心のコメントを述べている。
22日夜現在、「はやぶさ2」はホームポジションに戻るべく上昇を続けているところだ。
年内にはこの後さらに、地表にインパクターをぶつけてクレーターを作り、宇宙風化を経ていない地表下の物質を採取するという世界初の難関ミッションも待ち受けている。サンプルを携えて地球への帰還の途に着くのは2019年末予定。この画期的ミッションから目が離せない一年となりそうだ。
タッチダウン成功後の記者発表で、着陸前後の様子について解説する津田雄一プロジェクトマネージャ。「はやぶさ2」の運用管制が行われているJAXA相模原キャンパス(神奈川県)にて(撮影:星ナビ編集部。以下同)
記者発表後のフォトセッションでは、登壇したチームメンバーがつめかけた報道陣のリクエストに応えて笑顔でポーズ!左から久保田孝さん(JAXA宇宙科学研究所研究総主幹)、佐伯孝尚さん(プロジェクトエンジニア)、津田さん、照井冬人さん(航法誘導制御担当)、吉川真さん(ミッションマネージャ)
JAXA相模原キャンパスに隣接する相模原市立博物館で開かれたパブリックビューイングには、朝早くから200名近い人々が「はやぶさ2」の応援に駆けつけ、大型モニターに映し出された管制室の様子を固唾を飲んで見守った
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