3つの銀河を飲み込みつつある、宇宙で最も明るい銀河

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太陽の350兆倍もの明るさで輝く銀河が、周囲にある3つの銀河を同時に飲み込みつつある様子が、アルマ望遠鏡の観測でとらえられた。

【2018年11月22日 NASA JPL

2015年にNASAの赤外線天文衛星「WISE」によって発見された、みずがめ座方向の銀河「WISE J224607.55-052634.9」(以後 W2246-0526)は、これまでに知られている銀河としては最も明るい銀河である。その明るさは太陽の350兆倍もあり、宇宙に存在する銀河すべてを地球から同じ距離に置くことができれば、W2246-0526が最も明るく見えるはずだ。

アルマ望遠鏡によるW2246-0526の観測から、少なくとも3つの小さい銀河のガスや塵がW2246-0526へと引き込まれつつある様子がとらえられた。宇宙で最大の銀河というわけではないW2246-0526が最も明るい銀河である理由の一つは、このガスや塵にあるようだ。物質がW2246-0526の中心に存在する超大質量ブラックホールへと落ち込むと、互いに衝突して数百万度という高温になり、非常に眩しく輝くようになるのである。3つの小銀河からW2246-0526に流れていく物質の量は、ブラックホールで消費される量をじゅうぶん補充できるという。

アルマ望遠鏡による「W2246-0526」周辺の電波観測画像
アルマ望遠鏡が取得した電波データから作成された「W2246-0526」銀河周辺の観測画像(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); S. Dagnello (NRAO/AUI/NSF))

チリ・ディエゴ・ポルタレス大学のTanio Diaz-Santosさんたちの観測では、W2246-0526と他の銀河のうちの1つとをつなぐ塵の尾のような構造が見つかった。この尾の位置や形状は、ある銀河から別の銀河へと物質が流れていく際に見られるものと一致している。「過去のデータから、3つの小銀河の存在はわかっていましたが、それらの銀河と中心の銀河との相互作用を示す証拠はありませんでした。アルマ望遠鏡による観測から、非常にはっきりとその様子を見ることができました」(Diaz-Santosさん)。

注釈付き画像
W2246-0526周辺の注釈付き画像。水色の線で囲まれた部分にW2246-0526があり、その周りに小銀河のC1~3が存在する。Tidal Tailの部分に銀河をつなぐガスや塵からなる尾がある(提供:T. Diaz-Santos et al.; N. Lira; ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

W2246-0526は約124億年前の初期宇宙に存在する天体である。この距離(過去へと遡る時間の長さ)は、複数の物質供給源を持つ銀河としては、これまでに発見されている中で最も遠いものだ。これほど遠くかすかな銀河を高感度かつ高精度で調べることができたのは、アルマ望遠鏡の40台のアンテナを使って2時間半かけて行われた観測によるものである。

W2246-0526は、「Hot DOGs」(Hot, Dust-Obscured Galaxies)と呼ばれる、塵に覆われた高温の銀河に分類される。ただし、この銀河が大量の塵に隠されたクエーサー(中心部が特に明るく輝く銀河)の代表的な存在なのか、あるいは特殊な存在なのかは、まだはっきりとわかっていない。

「W2246-0526は、WISEによって発見された他の銀河の約2倍も明るい銀河です。また、非常に初期の宇宙で形成された銀河でもあることから、W2246-0526は他に仲間のいない独特な銀河である可能性があります。しかし一方で、現在の典型的な銀河の1000倍も明るい、塵に覆われた遠方の銀河は、WISEで数多く見つかっています。ですから、塵に隠されたクエーサーと銀河の進化における重要な段階で起こる現象を、私たちはW2246-0526に見ているのかもしれません」(WISEプロジェクトサイエンティスト Peter Eisenhardtさん)。

W2246-0526の超大質量ブラックホールの質量は太陽の40億倍と見積もられているものの、強力な明るさを説明するためにはその3倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが必要となる。この謎については今後の観測で解き明かされていくだろう。

W2246-0526のイラスト
W2246-0526と周囲の小銀河の想像イラスト(提供:(NRAO/AUI/NSF) S. Dagnello)

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