太陽系の未来か、白色矮星を取り巻く円盤状構造

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12年間にわたる観測で、死を迎えた星とかつてその星の周りにあった小天体との相互作用が初めて詳しく解明された。太陽系も遠い未来にはこのような運命をたどるのかもしれない。

【2015年11月17日 Royal Astronomical Society

質量が太陽の8倍以上の重い恒星は超新星爆発を起こして一生を終えるが、それよりも質量の小さい恒星は違う運命をたどる。太陽の1~8倍程度の質量しかない軽い恒星は、燃料を使い果たして燃え尽きると膨らんで赤色巨星となる。外層は宇宙空間へと放出され、あとには高温高密度の白色矮星が残る。

こうした過程において、周りに存在する惑星や小惑星などはどうなるのだろうか。そして、一体何が残されるのだろうか。その疑問に答えを出す一助となる最新の研究成果が発表された。

英・ウォーリック大学のChristopher Manserさんたちの研究チームは、ヨーロッパ南天天文台の大型望遠鏡VLTなどを用いて2003年から12年にわたって観測された、おとめ座方向の白色矮星「SDSS J1228+1040」のデータを調べた。

白色矮星と周囲の円盤状構造の想像図
白色矮星と周囲の円盤状構造の想像図(提供:Mark Garlick (www.markgarlick.com) and University of Warwick/ESO

ドップラー・トモグラフィーと呼ばれる、医療の現場で人体をスキャンして診断するのに似た技術を用いた解析から、白色矮星の周りを回りながら食い物にされ、ガス状となって光を放っている構造の詳細な分布が初めて明らかにされた。こうした白色矮星の周りのガス状円盤は珍しく、これまでに7例しか見つかっていない。

研究チームでは、一つのはぐれた小惑星が白色矮星に危険な距離にまでに接近し、その強力な潮汐力によって引き裂かれ、白色矮星の周りを取り巻く円盤状構造を形成することになったと結論づけている。

この円盤は土星の環と同じようなプロセスで作られたが、スケールは大きく異なり、J1228+1040の直径は土星の7分の1以下しかないのに質量は2500倍もある。また、白色矮星と円盤の内縁までの距離70万kmの間に、土星とその環はすっぽりと収まる。

J1228+1040のような天体は、恒星が一生を終えるときにどんな環境ができるのかについてヒントを与えてくれる。70億年後の太陽系の運命を含め、惑星系で何が起こるのかについても理解の助けとなるだろう。

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