カッシーニ撮影、衛星ハイぺリオンの最新画像

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NASAの土星探査機「カッシーニ」が衛星ハイペリオンへの最後のフライバイを5月31日に行い、その際に撮影された画像が公開された。スポンジのような奇妙な姿がよくわかる。

【2015年6月3日 NASA JPL (1)(2)(3)

土星探査機「カッシーニ」が先月末、第7衛星ハイペリオンにフライバイして探査を行った。ハイペリオンは直径270kmの衛星で、表面には深いクレーターが無数に存在している。スポンジのようにも見える奇妙な姿は、ハイペリオンの密度がこのような大型の天体としては異常に低い(水の半分ほどしかない)ためと考えられている。

カッシーニが5月31日に撮影したハイペリオン
カッシーニが5月31日に撮影したハイペリオン。クレーターの底に暗い物質が見える(提供:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

ハイペリオンの自転周期と自転軸は不規則に変化し予測不可能なため、特定の狙った領域を撮影することは難しい。2005年に505kmまで最接近するなどカッシーニはこれまでにも何度かハイペリオンを探査しているが、ある程度は同じ領域がとらえられている。また、ハイペリオンは公転中に土星の磁気圏を通過し、プラズマにさらされて電気を帯びるが、2005年にはカッシーニのプラズマ分光器がハイペリオンからの電子ビームを検出したこともあった。

カッシーニの次なるフライバイは6月16日で、氷の衛星ディオネに516kmの距離まで接近する。そして、10月に予定されている最後のフライバイでは、今最も注目されている衛星エンケラドスにわずか48kmまで大接近する。その後、カッシーニは土星の赤道面から離れ、土星とその環の間を飛行する最後のミッション「グランドフィナーレ」を行う。