タイタンの湖、メタンではなくエタンが主体の可能性

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【2013年4月17日 NASA

土星の衛星タイタンの湖は、従来考えられてきたメタンではなくエタンが主体であるという可能性が発表された。メタンの存在は一時的なものであり、数千万年のうちに枯渇するかもしれないという。


「カッシーニ」がとらえたタイタンの湖

「カッシーニ」がとらえたタイタンの湖。左が2010年の可視光線・赤外線像、右が2007年のレーダー像。日本の十和田湖から名付けられた「Towada湖」も見える。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

4月29日に衝(太陽―地球―惑星が一直線に並ぶこと)をむかえ、一晩中見えて観察の好期となる土星。その周囲を回る衛星のうち最大のタイタンには、地球に見られる水の循環と同じように、メタンを主体とする炭化水素の循環が存在する。

しかし地表に多数見られる液体の炭化水素の湖の主体は従来考えられていたようなメタンではなく、別の炭化水素であるエタンであるという可能性が出てきた。探査機「カッシーニ」の数年間の観測によれば、雨として降る量が少ない割に湖の大きさにほとんど変化が見られない。したがってその主体はメタンよりも蒸発しにくいエタンではないか、というのだ。

NASAのChristophe Sotinさんらはタイタンにおける炭化水素の循環量について分析し、現在タイタンに見られるメタンは太古の昔に天体衝突か火山活動によって天体内部から一気に噴出したものの名残りにすぎないという可能性を示している。Sotinさんらの説によれば、メタンは大気上層で太陽光を受けてエタンなどに変化することでじょじょに失われ、数千万年で枯渇するかもしれないということだ。

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