土星の衛星ディオネで酸素を検出

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【2012年3月8日 NASA

土星の衛星ディオネの地表から酸素分子のイオンが検出され、別の衛星レアと同じような希薄な大気の存在が明らかになった。


土星の衛星ディオネ

土星の衛星ディオネ。断層とクレーター構造が表面で見られることから、ディオネは形成されたときから地殻活動があったことがわかる。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute)

土星の衛星ディオネから酸素イオンが検出され、薄い大気があることがわかった。NASAの探査機「カッシーニ」の観測によるもので、酸素イオンが11cm3あたり1個という、非常に希薄な中性大気を持っていると考えられる。ディオネの地表付近の大気密度は、地球では480km上空の大気と同程度ということだ。

「土星の環や衛星レアと同様に、ディオネが酸素分子の供給源であることがわかりました。土星系では酸素分子が一般的な存在で、生命活動がなくても酸素分子が発生するということが示されたんです」(米ロスアラモス国立研究所のRobert Toker氏)。

ディオネの酸素は、太陽からの光や宇宙空間から降ってくる高エネルギー粒子などの衝突により、表面の水の氷から発生していると考えられる。だが研究者たちは、地質学的な要因などの可能性も考慮している。

ディオネの大気は、地球などの岩石惑星や土星最大の衛星タイタンといった天体のものよりもはるかに薄い。カッシーニは2010年にレアにも大気を発見しているが、その酸素濃度はディオネと同様、地表付近で地球のわずか5兆分の1という希薄さだ(参照:2010/12/2 「土星の衛星レアに大気を検出」)。

ディオネでは以前ハッブル宇宙望遠鏡がオゾンを検出しており、酸素分子が存在する可能性が指摘されていた。そして2010年7月のカッシーニによる接近観測データから、ようやく確実であることがわかった。この時の観測はカッシーニに搭載された「プラズマ分光計」によるものだったが、もうひとつ、「イオン・中性質量分光計」の観測データも現在分析中だ。これはレアの薄い大気を検出した時と同じ機器で、2つの衛星のデータを比較したり、ディオネに他の分子が存在するかどうかを確認したりできると期待される。

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