「はやぶさ2」、スタートラッカでリュウグウを撮影
【2018年5月16日 JAXA】
探査機「はやぶさ2」は今年7月に到着予定の小惑星「リュウグウ((162173) Ryugu)」へ向かってイオンエンジンを使って飛行を続けている。
5月11日、「はやぶさ2」はイオンエンジンをいったん停止して、スタートラッカを使ったリュウグウの撮影を実施した。通常スタートラッカは、恒星の位置を計測して探査機の姿勢を推定するために使用されるが、今回は「はやぶさ2」からリュウグウの方向を計測して「光学航法」を行うため、撮像カメラと同様に画像を撮影するモードで使用された。
光学航法とは、探査機から天体の方向を計測したデータを利用して「はやぶさ2」とリュウグウの軌道をより正確に推定する方法のことだ。探査機の軌道は、通常は電波による通信で推定する「電波航法」で決定しているが、「はやぶさ2」がリュウグウに到着するときには光学航法のデータも利用し、軌道を高精度に推定する。
スタートラッカによる撮影は、5月11日から14日にかけてほぼ1日おきに3回行われ、1回の撮影では数時間の間に3枚の画像が取得された。撮影はすべて成功し、写っていたリュウグウの位置が正確に計測された。そのデータを使って「はやぶさ2」とリュウグウの軌道を正確に求める作業が行われている。
スタートラッカによって撮影されたリュウグウ(黄色の丸内)。探査機から見てうお座(Psc)の方向にあり、右から左へと移動している。撮影時刻は、右から5月12日1時ごろ、5月13日2時ごろ、5月14日1時ごろ(日本時間)。画角は約9度×7度(提供:JAXA、京都大学、日本スペースガード協会、ソウル大学、以下同)
画像から作成されたアニメーション。中央付近で右から左に動いている点がリュウグウ。現れたり消えたりしている像はノイズ
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