AIで新たな系外惑星を発見
【2017年12月19日 NASA】
今回の発見はNASAのAndrew VanderburgさんとGoogleの人工知能研究プロジェクト「Google Brain」の研究者であるChristopher Shallueさんによるものだ。
現代の天文学は、観測技術の飛躍的な進歩に伴って、膨大な量の観測データが日々氾濫し続ける状況にある。Shallueさんはこのことを知り、系外惑星探索に興味を持った。「大量のデータから系外惑星を探索する研究について仕事の空き時間に調べていたときに、『ケプラー』のミッションの膨大なデータセットが使えるようになっていることを知りました。人間の手では調べきれないほど大量のデータがあるような場合に、機械学習は威力を発揮します」(Shallueさん)。
ケプラーは、恒星の手前を惑星が横切ることで生じる明るさの時間変化を観測し、データを記録する。4年間にわたって集められたデータには約3万5000件の「惑星による減光かもしれない信号」が含まれている。このデータの中から有望な信号を選び出すために、これまでは自動処理のプログラムや人間の目によるチェックが行われてきた。しかし、非常に弱い減光の場合には見逃されてしまうことも多かった。
そこでShallueさんたちはケプラーのデータ解析に、脳の神経細胞を模した「ニューラルネットワーク」を適用するというアイディアを思い付いた。まず彼らは、系外惑星による減光であることがわかっているデータを1万5000件用意し、惑星による「真の減光」と惑星由来でない「偽の減光」のパターンを識別するようにニューラルネットワークに学習させた。学習の結果、ニューラルネットワークは真の惑星による減光と偽の減光とを96%の確率で正しく判別できるようになった。
次に学習済みのニューラルネットワークを使って、すでに複数個の惑星を持つことがわかっている670個の恒星のデータの中に弱い減光の信号がまだ埋もれていないかを探した。複数の惑星を持つ惑星系にはさらに未知の惑星がある可能性が高い、というのが彼らの仮定だ。
この手法によってShallueさんたちは、これまで7個の惑星が見つかっていた恒星「ケプラー 90」に8番目の惑星が存在することを新たに発見した。惑星数が私たちの太陽系に並ぶ惑星系はこれが初めてだ。ケプラー90はりゅう座にあり、地球から2545光年の距離にある太陽に似た星だ。今回見つかった惑星「ケプラー90 i」は主星から非常に近い距離を14.4日周期で公転している。直径は地球より3割ほど大きい岩石惑星で、平均表面温度は400℃を超えると推定される。

ケプラー90(左端)の周囲を回る惑星系のイラスト。新たに見つかったケプラー90 iは内側から3番目(イラストでは左から4番目)(提供:NASA/Wendy Stenzel)
研究チームはさらに、はくちょう座の方向にあり5個の惑星の存在が知られていた「ケプラー80」という別の星でも6番目の惑星を見つけた。この新惑星ケプラー80 gは地球と同程度の大きさで、既知の5個の惑星よりも外側を14.6日周期で公転している。新発見のgを含めた計6個の惑星のうち、最も内側のものを除く5個は「共鳴連鎖」と呼ばれる状態にある。互いの重力によって公転周期が単純な整数比に固定されているのだ。同じ関係はTRAPPIST-1星系の7個の惑星にも見られる。
「今回の成果は、現在もケプラーミッションの価値が永続していることを示しています。機械学習アルゴリズムのような新しい方法によって、系外惑星系の理解が今後も進展し続けることでしょう。ケプラーのデータにはまだまだ新発見が眠っていると思います」(NASA ケプラーミッション Jessie Dotson さん)。
〈参照〉
- NASA:Artificial Intelligence, NASA Data Used to Discover Exoplanet
- The Astronomical Journal:Identifying Exoplanets With Deep Learning: A Five Planet Resonant Chain Around Kepler-80 And An Eighth Planet Around Kepler-90 論文
〈関連リンク〉
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