宇宙プラズマから電波が発生する瞬間を特定

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NASAの磁気圏観測衛星「テミス」の観測データから、宇宙空間で自然発生する周波数1Hz程度の電波の一種が発生する瞬間が特定された。

【2017年9月22日 名古屋大学東北大学東京大学

高度400kmから約10万kmの地球周囲の宇宙空間(ジオスペース)にはプラズマが存在している。ジオスペースのプラズマからは様々な電波が発生しており、プラズマの分布やエネルギーを変えてしまうことが知られている。特に周波数1Hz程度の「電磁イオンサイクロトロン波動」と呼ばれる電波は、放射線(放射線帯の電子)の分布を変えたりオーロラの発生に寄与したりすると考えられている。しかし、プラズマの中から電波が発生する瞬間が観測されたことはこれまでなかった。

名古屋大学の小路真史さん、三好由純さんたちの国際共同研究グループは、電波とプラズマの位相関係からプラズマ分布の揺らぎを特定し、相互のエネルギー授受を求める新しい解析手法を開発した。この解析手法を用いて、NASAの磁気圏観測衛星「テミス」のデータを詳細に分析した結果、電磁イオンサイクロトロン波動が発生する瞬間の特定に成功した。

さらに、電波が発生しているときには、その場所に存在するイオン群の中に数秒間だけ存在する、左右非対称な穴が作り出されることを発見した。また、穴の存在によってイオン群のエネルギーが電波を生み出していることを実証した。

この手法は、今後宇宙プラズマの中で発生している様々な種類の電波の分析に応用されていくことが考えられる。とくに昨年12月に打ち上げられたJAXAのジオスペース探査衛星「あらせ」の観測データに適用することで、明滅するオーロラを作り出す起源といわれる周波数数千Hzの謎の宇宙電波「ホイッスラー波動・コーラス」が生まれる様子が解明されると期待される。

ジオスペースにおける自然電波発生の様子
ジオスペースにおける自然電波発生の様子。(下左)「テミス」で観測された磁場のスペクトル。14:40前後に周波数が上昇する電波(電磁イオンサイクロトロン波動)が観測されている(白点線で強調)。(下中)イオンと電波の共鳴の模式図。(下右上)理論的に示唆される電波発生時のイオン群の分布。図面右寄りに薄い密度の穴(青色で表現)が現れる。(下右下)テミスがとらえたイオンの穴で、上の低密度領域に対応する。クリックで画像拡大(提供:名古屋大学のホームページより)