「ひので」、大規模太陽フレアを起こした活動領域を観測

このエントリーをはてなブックマークに追加
9月6日から11日にかけて大規模な太陽フレアを起こした活動領域を、太陽観測衛星「ひので」がX線でとらえた動画が公開された。

【2017年9月12日 国立天文台JAXA宇宙科学研究所NICT宇宙天気ニュース

今月6日から11日(いずれも日本時間)にかけて計4回、太陽で大規模フレア(爆発現象)が発生した(参照:「11年ぶり、最強クラスの太陽フレアが発生」)。6日夜に発生したフレアは11年ぶりに強度がX9.0以上となり、11日未明のフレア強度もX8.2と強力なものだった。

これらの大規模フレアは「活動領域2673」と呼ばれる黒点群から生じたものだが、この活動領域は9月3日頃に、太陽面下からの磁場の浮上活動によって太陽面中央付近の赤道から少し南の位置に急に現れ、その後急速に発達した部分である。この活動領域の発達を受けて、太陽観測衛星「ひので」の観測チームは本来予定していた観測を中止し、9月5日の夕刻からこの活動領域観測を開始した。その結果、6日と11日の大規模フレアなど多くの現象をとらえることに成功し、フレア・プラズマの激しい運動の様子などの貴重なデータを取得した。

「ひので」が8月31日から9月11日(日本時間)にかけてとらえた太陽のX線全面像をつなげた動画。白く輝いているところは特に温度が高く活動が活発なところ(提供:国立天文台/JAXA/MSU)

今回の大規模フレアが観測されてから電気を帯びた粒子が地球に飛んでくるまでの間に、情報通信研究機構などから地球への影響に対する注意が喚起されている。このように、帯電粒子が太陽から地球までやってくるには2~3日程度の時間がかかるため、太陽フレアを起こした活動領域の位置や大きさ、粒子のかたまりが太陽から放出された場所や規模を正確に知ることで数日先の予報を行うことができ、人工衛星や通信インフラなどに対する影響を見積もったり対策を検討したりすることが可能となる。

「ひので」は太陽フレアの発生メカニズムの物理学研究を行うための観測を行いながら、その予報に関わる情報源の一つとして観測データの提供も行っている。今回のデータの分析・研究から、太陽フレアの発生を予測する研究が進展することが期待されている。