星の群れに彩られた、はるか遠くの銀河

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重力レンズ効果を受け大きく引き伸ばされた、はるか遠方に存在する銀河の姿をハッブル宇宙望遠鏡がとらえた。復元された銀河の像には若い星の群れがあちこちに見られる。

【2017年7月13日 HubbleSite

遠方宇宙の観測ともなると、NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)の持つ鋭い観測の目にも限度が出てくる。そのため、遠方天体の詳細な像を得るには、巧みなアイデアと重力レンズ効果によるちょっとした手助けが必要となる。

おおぐま座の方向に位置する円盤銀河「SGAS J111020.0+645950.8」は、強い重力レンズ効果を受けた銀河を見つけ出す「スローン・ジャイアント・アークス・サーベイ(SGAS)」で見つかりHSTで追観測された天体の一つだ。銀河と私たちの間に存在する巨大な銀河団「SDSS J1110+6459」の重力によって、銀河の像は大きく歪められ、30倍に拡大されている。

円盤銀河と銀河団
(画像左)円盤銀河「SGAS J111020.0+645950.8」の重力レンズ像、(中央)重力レンズ効果を生み出した銀河団「SDSS J1110+6459」、(右)復元された円盤銀河の姿(提供:NASA, ESA, and T. Johnson (University of Michigan))

さらに円盤銀河の像をコンピューターで分析することで、HSTが単独で得る像の10倍も鮮明な銀河の姿が再構成された。真横から見た円盤銀河には生まれたばかりの星々の群れが20個ほど見られる。「復元された画像を見て『至るところで花火が上がっているようだ』と話していました」(NASAゴダード宇宙飛行センター Jane Rigbyさん)。

この円盤銀河は約110億年前の宇宙、つまり宇宙誕生から30億年未満という初期宇宙に存在してる。銀河中の星々の群れの大きさは約200~300光年と見積もられているが、これは「遠方の初期宇宙における星生成領域の大きさは3000光年以上」という従来の理論と矛盾する結果となった。

「観測できる限界まで小さいサイズの、星の群れが存在しています。重力レンズ効果がなければこれは見えず、銀河はHSTで見ても完全に滑らかで目立たないものだったでしょう」(米・ミシガン大学 Traci Johnsonさん)。

HSTの後継機で2018年に打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)では、銀河のもっと初期に誕生した年老いた赤い星や、銀河内の塵に隠れたものもとらえられる。「JWSTによって、この銀河に過去何が起こったのか、塵に邪魔されてHSTでは見えなかったものは何か、明らかになるでしょう」(Rigbyさん)。

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