はやぶさからはやぶさ2へ 旅のプロローグ

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小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還から4年。その後継機である「はやぶさ2」の打ち上げまであと5日。発売中の「星ナビ」12月号の特集から、ミッションマネージャ・吉川真さんによる解説記事を一部抜粋で紹介する。

【2014年11月25日 星ナビ12月号

※この記事は、星ナビ12月号「はやぶさ2」特集より抜粋、Web用に再構成したものです。

ミッションの始まり

解説・吉川真さん(「はやぶさ2」ミッションマネージャ)

小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還した2010年6月から4年半、そして2003年5月の「はやぶさ」打ち上げからは11年半。ついに「はやぶさ」の後継機となる「はやぶさ2」が打ち上げを迎えることになった。

「はやぶさ2」の最初の提案は、2006年になされた。「はやぶさ」を地球に帰還させようと必死の努力が行われていたころである。しかし、なかなか認めてもらえないまま年月が流れ、結果的には「はやぶさ」が地球に戻ってきた後の2011年になってプロジェクトとしてスタートしたのである。そのために非常に準備期間が短かったのだが、どうにか打ち上げにたどり着いた。ここではまず、「はやぶさ2」に至った紆余曲折の道のりについて紹介する。

はやぶさ2の打ち上げ実機
2014年8月31日、JAXA相模原キャンパスで公開された「はやぶさ2」の打ち上げ実機(撮影:星ナビ編集部。以下同)

「はやぶさ2」の立ち上がり

「はやぶさ」は小惑星から物質を持ち帰るという、世界初の小惑星サンプルリターンのミッションであった。ひじょうに挑戦的なミッションであったので、打ち上げ前でも打ち上げ後でも、忙しいときにはかなりハードな作業が続いていた。

そのような中で、「はやぶさ」打ち上げ前から、「はやぶさ」の次世代となるミッションについての検討が開始されていた。打ち上げ前の「はやぶさ」はMUSES-Cと呼ばれていたので、この“次世代のミッション”は「ポストMUSES-C」と呼ばれていた。これは「はやぶさ」よりも技術的に進んだ探査機を製作し、より高度な探査を行おうとするもので、旧宇宙科学研究所の小天体探査ワーキンググループで検討が進められていた。

着陸機MASCOT
「はやぶさ2」(奥)とともに公開された着陸機「MASCOT」の開発試験用モデル(手前)。ドイツとフランスが主体となって開発された

「はやぶさ」が打ち上がった後は、「ポストはやぶさ」と名前を変えて検討が続いた。ところが2005年11月、小惑星イトカワへのタッチダウンを試みた「はやぶさ」は予定されたようにはサンプル採取ができなかった。それどころか、燃料が漏れてしまい、通信も途絶えるという最悪の状況になってしまった。「はやぶさ」がうまくいかなければ「ポストはやぶさ」はありえない。そこで、「はやぶさ」の再挑戦ミッションを提案することになり、そのミッションを「はやぶさ2」と呼ぶことにしたのである。「ポストはやぶさ」の方は、名称を「はやぶさMk2」と改名して区別することにした(Mk2とは“マークツー”であるが、これは「モデルチェンジをした」という意味がある)。

「はやぶさ2」は「はやぶさ」の再挑戦(リベンジ)なので、探査機そのものの基本的構造は「はやぶさ」と同じで、なるべく早期に打ち上げることを目指した。もちろん、「はやぶさ」で問題があった点については改良する。また、ターゲットとなる小惑星としては、より多くの科学成果を挙げるためにも、S型のイトカワとは別のC型小惑星である1999 JU3という仮符号の小惑星が選ばれた。C型小惑星の表面物質には水や有機物が含まれていると考えられているので、そのような物質を地球に持ち帰ることができれば、地球が誕生した46億年前の太陽系空間にあった水・有機物の情報を得ることができる。つまり、生命の原材料に迫ることができる、と考えたわけである。

國中均プロジェクトマネージャ
「はやぶさ2」ミッションの概要を説明する國中均プロジェクトマネージャ。「小惑星1999 JU3にも通称を付ける予定ですが、前回イトカワという大変良い名前を付けてしまったので、正直どうしたものかと困っているところです」

1999 JU3に行くためには、打ち上げの時期が2010年か2011年となる。2006年に早急に検討を行い予算の要求をしたが、残念ながら予算としては研究費程度しか確保できず、ミッションの早期実現は不可能となった。しかし、次の打ち上げ時期が2014年にある。そこで、当初の検討よりも4年ほど打ち上げを遅らせた案で再検討することになった。時間的な余裕ができたので、「はやぶさ」とほぼ同じことをやるのではなく、新しいことにも挑戦することにした。その1つがこの後紹介する「衝突装置」と呼ばれるものである。この衝突装置を使って、小惑星表面に人工的なクレーターを作り、クレーター内部の物質(あるいは地下から放出された物質)の採取を試みるのである。

2009年に、この新しい試みを追加したミッションとして「はやぶさ2」を再提案した。しかし、やはりすぐには認められない。予算の壁は非常に厚かった。そこで、打ち上げのためのロケットを提供してもらうような海外協力も模索して、米国や欧州との協議にも奔走した。しかし、協議は不調に終わった。

続きは星ナビ12月号16ページ特集で! 「はやぶさ」から受け継がれるもの、そして「はやぶさ2」ミッションの全貌がここに

星ナビ2014年12月号「はやぶさ2」特集
発売中の月刊星ナビ12月号は「はやぶさ2」特集+両面ポスター付き

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