太陽圏の形は伸びた彗星状ではなく球状かもしれない

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太陽系を取り囲む太陽圏はこれまで、彗星のように太陽の背後に尾を引いた形状だと考えられてきたが、「カッシーニ」の観測データなどから、球状である可能性が示された。

【2017年5月1日 NASA

太陽からは継続的に太陽風が吹いており、太陽系内には高温で電離した粒子(プラズマ)が満ち溢れている。太陽風は海王星の軌道の先にまで到達していて、「太陽圏(ヘリオスフィア)」と呼ばれる差し渡し約370億kmもの巨大なバブルを作っている。

これまで一般的に認識されてきた太陽圏の姿は、一方向に長い尾を引いた彗星のような構造と考えられていた。しかし、複数の探査機による最新データから、太陽圏の形がほぼ球状らしいことが示唆された。

(左)新しく示された太陽圏の形、(右)従来の太陽圏
太陽圏のイラスト。(左)今回示唆された、球状の太陽圏、(右)従来の長く伸びた太陽圏(提供:(左)Dialynas, et al.、(右)NASA)

太陽からの荷電粒子が太陽圏の境に届くと、恒星間物質中の中性ガス原子と電荷を交換し、一部が高速の中性原子として太陽系内に戻ってくる。この原子の数は太陽活動のサイクルに応じて増減するが、もし太陽圏が長く伸びた形をしていれば、伸びた側の境界から戻ってくる原子数の増減パターンは、反対側からの原子数の増減パターンよりも数年遅れて観測されるはずだと考えられる。

ところが、土星探査機「カッシーニ」の観測によると、どちら側からの変化も同じようなタイミングで起こることがわかった。これは、太陽圏が球状をしていることを示していると考えられる。「カッシーニは土星の磁場にとらえられたイオンを撮像できるように設計されていますが、太陽圏の境界の研究にも使えるとは思ってもみませんでした」(米・ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所 Tom Krimigisさん)。研究にはカッシーニの他、探査機「ボイジャー」1号2号や星間境界観測機「IBEX」のデータも使われた。

「ボイジャー1号」のデータから、太陽圏の先の恒星間磁場がこれまで考えられていた以上に強いことが示されている。恒星間磁場と太陽風とが太陽圏の端で相互作用し、太陽圏の尾が圧縮され、全体が球状になっているという可能性が考えられる。