生命がいるかもしれない惑星のトランジットを地上から観測

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ハビタブルゾーンに位置する太陽系外惑星「K2-3d」が主星の前を横切るトランジット現象が、初めて地上の天体望遠鏡でとらえられた。惑星の公転周期が高精度で測定されたことにより、将来の観測で惑星の大気を調査できる見通しが高まり、地球外生命探索に繋がる重要な足がかりが得られたといえる。

【2016年11月29日 国立天文台 岡山天体物理観測所

太陽系外の惑星が主星(中心星)の手前を通過する「トランジット」現象を観測すると、主星が暗くなる様子から惑星の存在を検出できる。さらに、その減光の大きさを様々な波長の光で精密に測定することによって、惑星の大気の成分を調べることもできる。

NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」はトランジットの観測で、2000個以上の系外惑星を発見してきた。そのうち、「ハビタブルゾーン」(惑星の表面に水が液体の状態で存在できる温度領域)に存在する惑星は30個近く見つかっており、これらの惑星の大気を調べられれば生命活動の証拠が得られる可能性がある。その観測のためには、いつトランジットが起こるかを正確に知ることが不可欠となる。

国立天文台の福井暁彦さんたちの研究チームは、岡山天体物理観測所の口径188cm天体望遠鏡と系外惑星観測用装置「MuSCAT(マスカット)」を利用して、しし座の方向に位置する太陽系外惑星「K2-3d」のトランジットをとらえることに成功した。この惑星による減光率はわずか0.07%しかないが、3つの波長帯で同時かつ高精度に観測ができるというMuSCATの高い能力が活かされた。

研究成果の概要イラスト
研究成果の概要イラスト。地球に近い大きさと温度をもつ系外惑星K2-3d(左上、想像図)が主星(右上、想像図)の手前を通過する様子と、その際に見られた減光の様子(提供:国立天文台)

今回の観測データなどを解析したところ、K2-3dの公転周期(約45日)を誤差18秒という極めて高い精度で測定することができた。これにより、将来のトランジット予測時刻の精度が大幅に高められたことになる。

K2-3dまでの距離は約140光年で、上記の約30個の系外惑星のなかでは最も太陽系に近い。そのトランジットが高精度で予測できるようになったことで、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やTMTなど次世代の大型望遠鏡によりベストなタイミングでトランジットを観測することが可能となり、近い将来、この惑星の大気を詳細に観測できる見通しが高まった。将来の地球外生命探索に向けて大きな足がかりが得られたといえるだろう。

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