ケプラー発見の天体1284個を新たに系外惑星と確認
【2016年5月13日 NASA】
NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」は、惑星が主星の前を通り過ぎる際に主星の明るさがわずかに減少する「トランジット」現象をとらえるという手法で惑星探しを行ってきた。今月9日に水星の太陽面通過が起こったが(参照:ニュース「太陽観測衛星「ひので」「SDO」がとらえた水星の太陽面通過」)、このときにほんの少しだけ暗くなった太陽を観測して水星を見つけるような方法だ。
ケプラーは2009年に打ち上げられ2012年にメインミッションを完了したが、これまでに約4300個の系外惑星候補を発見している。この候補のうち、984個は系外惑星であることがすでに確認されていた。
そしてこのたび、新たに1284個もの候補が確かに系外惑星であると発表された。残る約2000個のうちの1300個ほどの候補天体もかなり高い確率で系外惑星だろうとみられており、さらなる確認作業が行われている。
ケプラーによって発見された系外惑星の想像図の一部(提供:NASA/W. Stenzel)
1284個の新たな系外惑星のうち、約550個はその大きさから地球のような岩石惑星とみられている。さらにそのうち9つは、ハビタブルゾーン(液体の水が惑星の表面に存在できるような表面温度となる主星からの距離の範囲)に位置している。ケプラーが発見したハビタブルゾーンに存在する系外惑星の数はこれで21個である。
ケプラー以外の人工衛星や地上の天体望遠鏡による観測で見つかったものも含めると、今日までに発見された系外惑星の総数は3200個以上あり、そのうち2300個以上がケプラーによる発見だ。「ケプラーが打ち上げられるまでは、系外惑星がありふれた存在なのか稀有な存在なのかもわかっていませんでした。しかし今や、ケプラーと研究コミュニティのおかげで、恒星よりも惑星の数の方が上回っている可能性すらあることがわかってきたのです」(NASA Paul Hertzさん)。
NASAは2018年に、新しい系外惑星探査衛星「TESS(Transiting Exoplanet Survey Satellite)」を打ち上げ予定だ。TESSは地球サイズの惑星を見つけることを目標として、太陽系の近傍に存在する20万個の恒星を観測することになっている。
〈参照〉
〈関連リンク〉
- 系外惑星探査衛星「ケプラー」: http://kepler.nasa.gov/
- NASA Exoplanet Archive: http://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/
- Kepler Names ケプラーが発見し確定した系外惑星の一覧
- The Extrasolar Planet Encyclopaedia: http://exoplanet.eu/
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
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