アルマ望遠鏡、銀河中心ブラックホールの質量を精密に計測

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アルマ望遠鏡による観測で、7300万光年彼方の銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールの質量が精密に測定された。天の川銀河以外の銀河に存在する超大質量ブラックホールの質量測定としては、最も高精度な観測例の一つとなる。

【2016年5月10日 アルマ望遠鏡

銀河の中心には太陽質量の数百万倍から数十億倍もある超大質量ブラックホールが存在している。その質量を決定するには、ブラックホールの周囲にある星やガス雲の運動を調べ、重力の強さから計算しなければならない。

米・カリフォルニア大学アーバイン校のAaron Barthさんたちの研究チームは、エリダヌス座の方向7300万光年の距離に位置する楕円銀河NGC 1332の中心をアルマ望遠鏡で観測し、中心ブラックホールの周囲を回る一酸化炭素ガスの運動速度を計測した。

NGC 1332
銀河NGC 1332。(上方左)HSTによる銀河中心の赤外線画像。暗い部分は塵の円盤。(上方右)アルマによる銀河中心の観測データ。円盤の回転によって私たちから遠ざかっているガスを赤、近づいているガスを青で表している(提供:A. Barth (UC Irvine), ALMA (NRAO/ESO/NAOJ); NASA/ESA Hubble; Carnegie-Irvine Galaxy Survey)

観測では、16光年スケールの細かさでガス円盤の構造が詳細にとらえられた。また、ガス円盤の回転も計測され、中心付近では秒速500km以上の速度でガスが運動しているようすが観測された。

さらにシミュレーションと観測で得られたデータを比較した結果、NGC 1332の中心に位置する超大質量ブラックホールの質量は太陽の約6億6000万倍と求められた。天の川銀河の中心ブラックホールの質量の約150倍となる。この結果は、天の川銀河以外の銀河に存在するブラックホールの質量としては、これまでで最も精度の高い観測の一つである。

今回の観測はアルマ望遠鏡の高い能力のおかげで達成できたものだ。「アルマは高い分解能を誇り、ハッブル宇宙望遠鏡よりもシャープに、銀河の中心にあるガス円盤の自転を描き出すことができます。今回の観測手法は、他の多くの銀河の中心に位置する超大質量ブラックホールの質量計測にも利用できるでしょう」(研究チーム Benjamin Boizelleさん)。