小規模の銀河群に太陽の170億倍の超大質量ブラックホール

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最大級の質量を持つブラックホールは銀河が多数密集した銀河団に属する銀河に存在するものと考えられてきたが、銀河がそれほど多くは存在していない領域の銀河にも、太陽質量の170億倍ものブラックホールが見つかった。この種のブラックホールは、意外とありふれた存在なのかもしれない。

【2016年4月12日 UC Berkeley

これまで、太陽の100億倍もの質量を持つような最大級のブラックホールは、大きい銀河が多く存在する領域にある巨大銀河の中心に発見されてきた。現在の記録は、2011年に銀河NGC 4889に発見された太陽質量の210億倍もあるブラックホールだが、この銀河も1000個以上の銀河が集まっているかみのけ座銀河団に存在している。

ところが、それとは反対に、銀河が20個ほどしか存在しない小さなグループ中に太陽質量の170億倍のブラックホールが見つかった。このブラックホールが存在する楕円銀河NGC 1600は、エリダヌス座の方向約2億光年の距離にある。銀河に対してブラックホールの質量が大きすぎる(予測の10倍もある)という奇妙な特徴も併せ持っている。

銀河NGC 1600
銀河NGC 1600。広域画像はDSS、拡大画像はハッブル宇宙望遠鏡による近赤外線で見た銀河中心部(提供:NASA, ESA, and Z. Levay (STScI), Acknowledgment: NASA, ESA, C.-P. Ma (University of California, Berkeley), J. Thomas (Max Planck Institute for Extraterrestrial Physics, Garching, Germany), Digitized Sky Survey (DSS), STScI/AURA, Palomar/Caltech, UKSTU/AAO, and A. Quillen (University of Rochester))

「多数の銀河が集まるかみのけ座銀河団のような存在は非常に珍しいですが、NGC 1600のグループ程度の規模の銀河群は多数存在します。小さなグループにもモンスター級ブラックホールが見つかったということは、こうしたブラックホールはいわば宇宙の郊外のような場所にもっとたくさんあるのかもしれません」(カリフォルニア大学バークレー校 Chung-Pei Maさん)。

興味深いのは、NGC 1600の中心を回っている星々の運動が、ブラックホールが連星系を成しているかのようなふるまいをみせている点だ。大きな銀河は小さい銀河同士の合体を繰り返して成長すると考えられているが、その際に元の小さい銀河の中心にあったブラックホールも合体するので、大きい銀河の中心にブラックホールの(まだ合体していない)連星が存在することはよくあることと考えられる。ブラックホール連星は互いの周りを回りながら、やがて合体し、重力波を放出する。