新現象、超大質量ブラックホール近傍からの電波ジェット根元のふらつき

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これまで不動と思われていた、超大質量ブラックホール近傍から噴出する電波ジェットの根元の位置が、ジェット噴流の軸に沿って大きくふらつくという新現象が初めて発見された。超大質量ブラックホールと電波ジェットの根元は30光年以上も離れる時期があるようだ。

【2015年7月29日 国立天文台山口大学

山口大学大学院理工学研究科の新沼浩太郎さんをはじめとする共同研究チームは、おおぐま座の方向約4.3億光年彼方にある活動銀河「マルカリアン421」 の中心核付近で起こった爆発現象を発生直後から約7か月間にわたって観測し、活動銀河の中心に潜む超大質量ブラックホール近傍から噴出する電波ジェットの根元が大きくふらついている様子をとらえることに成功した。

VERA電波望遠鏡で観測した、マルカリアン421のジェットの根元の動き
VERA電波望遠鏡で観測したマルカリアン421のジェットの根元の動き。最も大きく動いた時には、最初の位置に比べて30光年下流まで動いたことになる。クリックで拡大(提供:山口大学、Niinuma et al.)

観測は超長基線電波干渉計(VLBI)である国立天文台VERA電波望遠鏡で行われ、とくに「相対VLBI」と呼ばれる手法が用いられた。相対VLBIでは、目標天体とは別の電波源を位置基準として利用することで目標の位置を精密に測定することができる。高い空間解像度とあわせ高頻度でフォローアップ観測を行ったことで、電波ジェットの根元が動いていることが突き止められたのだ。

研究成果を模式的に示した図
研究成果を模式的に示した図。クリックで拡大(提供:地球の画像:気象庁、他の画像:山口大学)

ふらつき現象は、超大質量ブラックホール近傍での活動が活発なときに噴き出すプラズマ塊の速度の違いにより、プラズマ塊同士が衝突する場所が大きく変化することによって生じている、という理論モデルでよく説明できるという。また、ふらつきの大きさは、プラズマ塊の速度が従来考えられていたよりも速いこと、および電波ジェットの根元と銀河中心核の超大質量ブラックホールが30光年以上離れているときがあることを示唆していると考えられる。

今回の新発見は、長年の謎となっている活動銀河中心核ジェットの形成メカニズムを理解する上で新たな手掛かりの一つとなることが期待されている。