地球磁気圏にプラズマが作るチューブ状構造を初検出

このエントリーをはてなブックマークに追加
電波干渉計「MWA」による立体観測から、地球磁気圏にプラズマが作るチューブ状の構造が初めて検出された。

【2015年6月4日 CAASTROUniversity of Sydney

西オーストラリアのマーチソン広視野電波干渉計(MWA:Murchison Widefield Array)を用いた観測で、高度約600kmの電離層上部からさらにその上のプラズマ圏に向かって伸びるチューブ状のプラズマ構造が検出された。こうした構造の存在については60年以上前から予測されていたが、実際にとらえられたのはこれが初めてだ。地球磁気圏中のこのような構造が起こす信号ひずみは衛星ナビゲーションシステムなどに影響を及すため、重要な観測成果となる。

観測を行った豪・シドニー大学のCleo Loiさんは、「高密度プラズマと低密度プラズマとが交互に縞模様を作り、地球の磁力線に沿ってオーロラのようにゆらゆらと流れていました」と語っている。

MWAは3km2の砂漠の土地に設置された128個のタイル状アンテナで構成されており、信号を東西に分けることによって立体視が可能となる。広い空域にわたるプラズマの動きをMWAで連続的に記録することで、今回の発見につながった。

検出されたチューブ状プラズマ構造の想像図
検出されたチューブ状プラズマ構造の想像図(提供:CAASTRO/Mats Bjorkland)