すばる望遠鏡で迫るスーパーフレア星の正体

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恒星表面の超巨大な爆発現象「スーパーフレア」が見つかった太陽型星のスペクトルを詳細に分析した結果、太陽とよく似た星でも巨大黒点が生じればスーパーフレアを起こしうるということが突き止められた。

【2015年5月13日 すばる望遠鏡

太陽フレアは、太陽の表面の黒点に蓄えられた磁場のエネルギーが一気に放出される爆発現象で、大規模なものでは大量の放射線(X線や紫外線、高エネルギー粒子)や、コロナ質量放出と呼ばれる高速プラズマ雲が放出される。放出されたプラズマ雲が地球磁気圏に衝突・侵入して巨大な磁気嵐が引き起こされると、通信障害や大規模停電などが発生する可能性がある。

京都大学、兵庫県立大学、国立天文台、名古屋大学の研究チームはこれまで系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測データから、太陽型星でのスーパーフレア(最大級の太陽フレアの10倍~1万倍に達するような超巨大フレア)を多数発見してきた。今回これらのスーパーフレア星の正体にさらに迫るため、すばる望遠鏡の高分散分光器「HDS」を用いて詳しい分光観測を行ったところ、観測対象となった50天体のうち半数以上は連星系などの証拠もなく、太陽とおおむねよく似た星であることが確認された。

分光観測では星の自転の速さを測定できるが、その結果は明るさの変化から求めた自転の速さとよく対応していた。ケプラーがとらえた多くのスーパーフレア星では数日から数十日周期で明るさが変化していることが知られており、これは星の表面にある大きな黒点が自転に伴って見え隠れすることで生じていると考えられてきた。今回の観測から、その予想が正しいことが確認された。

(左)太陽型星のスーパーフレアの明るさの時間変化、(右)可視光(白色光)で見たスーパーフレアの想像図
(左)太陽型星のスーパーフレアの明るさの時間変化。フレアによる突発的な増光の他に、周期15日程度のゆっくりとした明るさの変化が見られる。(右)可視光(白色光)で見た、スーパーフレアの想像図。巨大な黒点群でスーパーフレア(白色)が起こっている(提供:京都大学、以下同)

さらに、スーパーフレア星の電離カルシウムの吸収線の深さを測定したところ、スーパーフレア星は太陽と比較して非常に大きな黒点を持つ事が示唆された。太陽に大きな黒点が存在して星表面の平均磁場が強くなると、電離カルシウムの吸収線が浅くなることが知られており、この事実を応用した推測だ。

これらの成果は、「太陽とよく似た星も、巨大黒点が生じればスーパーフレアを起こしうる」ということを提起している。研究チームでは今後も引き続きすばる望遠鏡での観測を行うとともに、京都大学を中心に現在建設を進めている京大岡山3.8m望遠鏡も使い、スーパーフレア星の性質や長期的な活動性の変化をさらに詳細に調査する予定だ。巨大なフレアが起こる条件や兆候の追究が期待される。

(左)可視光線と電離カルシウム(Ca II)線で見た太陽の観測画像と、スーパーフレア星における同様の観測の想像図。(右)電離カルシウムの吸収線
(右)スーパーフレア星の電離カルシウムの吸収線は、太陽のそれと比較して浅い。(左)このことから、太陽に比べてかなり大きな黒点が存在すると推測される