系外惑星の可視光スペクトルを初めて直接検出

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20年前に発見され系外惑星第1号として知られる「ペガスス座51番星b」の、可視光スペクトルが直接検出された。こうした検出の成功は初めてのことで、系外惑星や惑星系の特徴を理解するうえで大きな成果となる。

【2015年4月27日 ヨーロッパ南天天文台

ペガスス座51番星b(51 Pegasi b)、通称「ベレロフォン」は、ペガスス座の方向約50光年の距離にある系外惑星だ。1995年に発見された、太陽のような普通の恒星の周りを回っていると確認された系外惑星の第1号で、典型的なホットジュピター(中心星に近い巨大ガス惑星)の一つである。

ペガスス座51番星bの想像図
系外惑星「ペガスス座51番星b」(左)と主星「ペガスス座51番星」(右)の想像図(提供:ESO/M. Kornmesser/Nick Risinger (skysurvey.org))

以来、これまでに1900個以上の系外惑星が見つかっているが、発見から20年となるベレロフォンが再び注目を浴びている。Jorge Martinsさんらの研究チームがヨーロッパ南天天文台ラ・シーヤ観測所の装置HARPS(高精度視線速度系外惑星探査装置)を使ってベレロフォンを観測し、史上初めて主星の光を反射した系外惑星の可視光スペクトルの直接検出に成功したのである。

系外惑星の可視光スペクトルが直接得られれば、惑星のさまざまな特徴の推定が可能になる。たとえば、系外惑星の大気を調べるのに広く用いられてきた方法として、主星の前を惑星が通過する(トランジットする)際に惑星の大気を通り過ぎた主星の光のスペクトルを調べるというものがあったが、トランジットを起こさない惑星ではこの方法は使えない。ベレロフォンもトランジットは起こさないが、可視光スペクトルが得られたおかげで、軌道が地球から見て約9度傾いていることや反射能(アルベド)が高いことが明らかになっている。

「科学的にとても重要な成果です。惑星の質量や軌道の傾きといった、惑星系をより深く理解するために必要な情報が得られるからです。大気や表面の組成を知る手がかりになる惑星表面のアルベドも推定できるのです」(Martinsさん)。

注:系外惑星として初めて発見されたのはパルサー「PSR 1257 12」周囲のもの(1992年)である。ベレロフォンは「太陽のような一般的な恒星の周り」のものとして初の系外惑星。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、系外惑星が発見された恒星を星図に表示することができます。

  • 「ステラナビゲータ10」をご利用の方は、まず「ツール」メニューからデータを更新し、「恒星」ダイアログで「系外惑星をもつ恒星」の「表示」「名称」をオンにしてください。
  • 9以前のバージョンでは、「コンテンツ」メニュー→「コンテンツ・ライブラリ」から追加天体データ「系外惑星」をダウンロードして、「天体」メニュー→「追加天体」で表示をオンにしてください。

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