小惑星キロンに環? 確認されれば小天体2例目

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小惑星キロンによる恒星食の観測から、キロンの周囲に環あるいは対称ジェットのような物質の存在が明らかになった。もし環であることが確認されれば、同じくケンタウルス族小天体であるカリクロに続いて2例目となる。

【2015年3月19日 マサチューセッツ工科大学

太陽系内には、環を持つ天体が5つ知られている。土星、木星、天王星、海王星といった惑星に加えて、2014年には初めて小天体にも環が発見された(参照:「小惑星カリクロに環を発見、小天体として初」)。このカリクロは、「ケンタウロス族」と呼ばれる、彗星と小惑星の特徴を併せ持つ天体の1つだが、新たにもう1つのケンタウロス族天体「キロン」にも環のようなものが検出された。キロンは1977年に発見された初のケンタウロス族天体で、小惑星(2060 Chiron)と彗星(95P/Chiron)の両方の符号を併せ持つ。

ケンタウルス族天体の環
キロンに環があるとすれば、小天体としては史上2例目となる(提供:ESO)

米・マサチューセッツ工科大学(MIT)のAmanda Boshさんらは2011年11月29日、ハワイにあるNASAの赤外線望遠鏡設備(ITF)とラス・クンブレス天文台グローバル望遠鏡を用いてキロンの恒星食(地球から見て天体が恒星の手前を通過する現象)を精密に観測した。キロンによって隠される恒星の光の変化から、キロンの中心から約300km離れた両脇にそれぞれ幅が3kmと7kmの物質の存在をつきとめた。同大学教授(当時)のJames Elliotさんが1993年と1994年に観測したという「水と塵が噴き出す対称ジェットのようなもの」と似ているが、ガスと塵の環という可能性もある。

これが対称ジェットであるとすれば、太陽系のはるか外側にあったキロンが巨大惑星の重力作用で太陽に近づく方へと押しやられ、凍っていた物質が塵やガスのジェットとなって噴出しているのかもしれない。また対称ジェットでなく環であるとするならば、宇宙を漂う天体の破片がキロンの重力にとらえられたものか、キロンを形成した材料の残り物という可能性が考えられるという。

MITの観測と他の観測データを併せて分析した他のチームはほぼ環で間違いないとしているが、最終的な結論を出すには、地上の複数地点からの恒星食観測を今後行う必要がある。

「カリクロの環が見つかるまでは、小天体に環は存在しないものと考えられていました。もしキロンにも環があるとなれば、小天体の環は意外に珍しくないということになります」(Boshさん)。

2014年11月撮影のキロン
2014年11月撮影のキロン(中央の印)。クリックで投稿ギャラリーのページへ(撮影:モンドシャルナさん)

キロンの公転軌道
キロンの公転軌道。巨大惑星に近づく不安定な軌道もケンタウルス族天体の特徴だ。天体の位置は2015年3月時点(「ステラナビゲータ」で表示)