塵を見通して検出、正体不明の有機分子

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東京大学と京都産業大学の研究チームが、塵が多く見通しが悪い環境にある星の光から、正体不明だった大きな有機分子による吸収線を多数発見することに成功した。

【2015年2月17日 東京大学

ガスや塵などの星間物質を透かして見える星の光のスペクトルには、特定の波長の光がさえぎられる「吸収線」が見られ、これが星間物質を知るカギとなる。こうした中に幅が太い「ぼやけた星間線」(DIB)と呼ばれる微弱な吸収線が観測されてきたが、それを引き起こす有機分子の正体ははっきりしていなかった。

芳香族炭化水素やフラーレンが有力とされてきた正体の解明の手がかりを得るためには、塵を見通せる赤外線での分光観測を行い、塵が多い環境におけるDIBの検出が重要となる。

スペクトルに表われるDIB
星の光のスペクトルに表われたわずかな吸収線から、星間物質に含まれる大きな有機分子を探る(提供:発表資料より。有機分子の図:M. Hammonds)

東京大学と京都産業大学の研究チームでは、高感度な赤外線分光器「WINERED」を用いて25の天体を調べ、0.91~1.36μmの赤外線波長帯でのDIBを15本発見することに成功した。この波長帯でのDIBはこれまで5本しか見つかっておらず、系統的な赤外線DIB探査は世界で初めてとなる。

今回のように、従来は検出が難しかった見通しの悪い環境でのDIBを赤外線観測で調べていくことで、大きな有機分子の生成過程、さらには宇宙における「生命の起源」の解明につながると期待される。

はくちょう座OB2星団
「はくちょう座OB2星団」の赤外線画像と、星団内の3つの星のDIBのスペクトル(右下)(提供:発表資料より。赤外線画像:NASA)