天文衛星「あかり」が遠赤外線でとらえた全天画像

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2011年に運用終了した天文衛星「あかり」が遠赤外線で行った観測をもとにした全天画像データが作成・公開された。従来のデータよりも解像度が大幅に向上し、より長波長までデータがそろっているため星や惑星の誕生を詳しく調べられるなど、幅広い分野での活用が期待される。

【2015年1月15日 JAXA宇宙科学研究所

東京大学の土井靖生さんらにより、2006年に打ち上げられた赤外線天文衛星「あかり」の全天観測データから遠赤外線の画像データが作成された。この遠赤外線データは、これまで広く利用されてきた衛星「IRAS」のデータを約20年ぶりに刷新するもので、解像度が4~5倍向上している。遠赤外線観測では、星や惑星の材料となる低温の塵(ダスト)などの星間物質の分布を把握し、天体が生まれるようすを調べることができる。

星間物質が重力で集まると、まず大きさが数百光年に達する「巨大分子雲」が作られ、その中で直径数十分の1光年以下の「分子雲コア」と呼ばれる特に密度の濃い領域ができる。今回完成した「あかり」のデータでは、大きな構造の全体を詳しく調べられるので、巨大分子雲から分子雲コアが生まれる過程を調べることができる。これは世界で唯一のデータだ。

また、従来より長い波長の赤外線(最長で160μm)を観測することで、温かい星間物質と冷たい星間物質の両方の分布がわかるので、星間物質の温度や分布を正確に測定し、生まれつつある星の数と分布を知ることができる。

星間物質の出す電磁波の強さを正確に知ることで、その背後に埋もれた宇宙背景放射の強さの分布も正確にわかるなど、今回のデータは星・惑星形成の研究以外の分野でも広く活用されることが期待される。

「あかり」が観測した全天の遠赤外線画像
「あかり」が観測した全天の遠赤外線画像。青く示された箇所が温かい星間物質(波長90μm)、赤いほど冷たい星間物質(140μm)の存在を示す。星間物質が温かい領域ほど、より多くの新しい星が生まれつつある。クリックで拡大(提供:発表資料より、以下同)

「あかり」が観測したはくちょう座付近の画像
「あかり」が観測した天の川付近の拡大画像。はくちょう座付近(下図の黄色枠)がとらえられている。クリックで拡大(星図は発表者により「ステラナビゲータ」で作成)


「ステラナビゲータ」で科学成果をより身近に

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