リュウグウと彗星の中間タイプの「暗い」小惑星

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リュウグウと彗星の中間タイプの暗い小惑星が複数見つかった。太陽系初期の微惑星が分化して両方の組成が生まれ、それを共通の母天体とすることで、各々の特徴を示す小惑星が形成されたのかもしれない。

【2026年7月27日 JAXA宇宙科学研究所

小惑星のタイプは太陽光の反射スペクトル(表面組成)の違いによって分類され、探査機「はやぶさ」がサンプルリターンした小惑星「イトカワ」はS型、「はやぶさ2」がサンプルリターンした小惑星「リュウグウ」はC型である。

また、火星と木星の軌道の間にある小惑星帯に存在する小惑星のうち、可視光線の波長域で暗く大型の天体は、主にC型とX型に分類される。さらにX型の中には、彗星と似た非常に暗い特性を持つ「暗いX型小惑星」もあり、波長が長くなるほど暗くなるなどの特徴が見られる。

JAXA宇宙科学研究所の長谷川直さんたちの研究チームは、太陽系形成の初期に作られた微小な天体「プラネテシマル(微惑星)」の生き残りと考えられている直径100km以上の小惑星の組成を詳しく調べるために、米・ハワイのマウナケア山頂にある口径3.2mのNASA赤外線望遠鏡施設(IRTF)を用いて、波長域0.8~2.5μmの分光観測サーベイを行っている。

IRTF
IRTF(提供:©Ernie Mastroianni

このサーベイにおいて、「(1093) Freda」と「(1390) Abastumani」という2つの小惑星が、可視光線域の特徴は暗いX型だが、近赤外線域の特徴がC型という「X&C型小惑星」であることが明らかになった。さらに調査を進めると、こうした特徴を持つ直径100km以上の暗い小惑星が10個ほど確認された。C型と暗いX型の間のスペクトルの連続帯に位置するこれらの天体の存在は、C型と暗いX型の起源が共通であることを示唆している。

FredaとAbastumaniの反射率スペクトルと測光データ
小惑星FredaとAbastumaniの反射率スペクトルと測光データ。赤と青の線は可視光線から近赤外線にかけての反射スペクトルによって小惑星を分類する「Bus-DeMeo分類法」に基づくX型およびC型小惑星の平均スペクトル値に対応(提供:JAXA宇宙科学研究所リリース、以下同))

分析の結果、X&C型小惑星の表面はマグヘマイト(磁赤鉄鉱)やマグネタイト(磁鉄鉱)よりもクロンステダイト(鉄ケイ酸塩鉱物)で構成されている可能性が高いとみられている。クロンステダイトはCIコンドライト母天体のマントル層で生成される可能性が高いことを考慮すると、X&C型小惑星は、最も始原的と考えられている「CIコンドライト隕石」の分化した母天体のマントル層に相当する可能性があるという。

分化とは、天体内部が溶けるほど熱せられ、重い物質(金属など)が中心部に沈んで核(コア)を形成し、表面にはそれより軽い物質(岩石)の層が形成される現象のことだ。太陽系の最初のプラネテシマルが分化し始めた際、各層の組成が徐々に異なっていくことで、C型と暗いX型の両方の組成が生まれたのかもしれない。この母天体が衝突によって破砕され、共通の母天体を持ちながらも組成の異なる天体ができたと考えられる。

部分的に分化が進んだ親天体の内部構造モデル
部分的に分化が進んだ親天体の内部構造モデル。灰色のコア部分はC型小惑星、黄の表層部分はX型小惑星になり、赤色のマントル部分に由来するとX&C型小惑星になる

今後ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などによる赤外線観測データが得られれば、今回の解釈の検証につながる組成の情報や天体の起源に関する制約条件がもたらされると、長谷川さんたちは期待している。

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