「はやぶさ2」の小惑星トリフネ最接近は7月5日18時30分

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7月5日に小惑星「トリフネ」へのフライバイを行う「はやぶさ2」が接近前のイオンエンジン運転を完了した。フライバイ時刻は日本時間18時30分の予定だ。

【2026年6月17日 JAXA(1)(2)

7月5日(日)、探査機「はやぶさ2」が、推定直径約500mの小惑星「トリフネ((98943) Torifune)」のそばを通過する高速フライバイ探査を行う。フライバイの予定時刻は日本時間5日18時30分ごろと発表されている(運用状況によって前後する場合あり)。この時間帯は「はやぶさ2」を日本局から運用するタイミングにあたり、日本から見てトリフネは西南西の空に位置する。ただし日没の約30分前なので、撮影・観望は難しい。

「はやぶさ2」は2020年12月に地球に帰還し、小惑星リュウグウのサンプル入りカプセルを地球に投下した。この時点でイオンエンジンの燃料が半分近く残っていたことから、引き続き「拡張ミッション『はやぶさ2♯』」を開始し、飛行を続けている。今回のトリフネへのフライバイを経て、2031年には小惑星「1998 KY26」にランデブーする予定だ。

6月7日には、4基のイオンエンジンのうち「B」を使ったトリフネへの最後のイオンエンジン運転を無事完了した。エンジンA・C・Dは想定より早く劣化し始めていることがわかっていて、唯一稼働しているBでも劣化の兆候である電圧の上昇がみられている。運用チームはエンジンの劣化をなるべく防ぐため、慎重な運用を続けている。

はやぶさ2のイラストとイオンエンジンの写真
「はやぶさ2」のイラスト。左下はイオンエンジンA・B・C・Dの写真(提供:JAXA(イラスト)(イオンエンジン)

トリフネへのフライバイに向けて、運用チームはこれまでに大量のシミュレーションや検証を重ねたほか、本番相当の手順に沿った大規模な最終リハーサルも完了している。現在、探査機はトリフネの方向にカメラを向けて撮影を始めていて、6月下旬にはトリフネの姿が見えてくる見込みだ。

今回のフライバイ探査では、超高速でトリフネに接近通過しながら画像を撮影する。トリフネの大きさや形は、2005年に「はやぶさ」初号機が訪れた小惑星イトカワに似ていると推定されているものの、詳しい姿はわかっていない。今回得られる観測データは、地球接近小惑星の多様性や進化を理解する上で貴重なものとなる。

運用予定
トリフネへのフライバイまでの運用予定。FB=フライバイ、SW=ソフトウェア、RCS=スラスター。「1st Light」がトリフネの初撮影(提供:JAXA、以下同)

トリフネへの最接近距離は小惑星の中心から約1km、トリフネとの相対速度は秒速5kmの見込みだ。トリフネに高速でフライバイするには精度の高い軌道誘導が必要となるため、今回「はやぶさ2」自身が自律的に考えて動く「オンボード航法誘導制御」の新しいソフトウェアが開発され、2月に探査機にアップロードされた。フライバイの際、地球と「はやぶさ2」の通信には電波の往復に約10分かかるため、トリフネに対して秒速5kmで飛行している探査機は、1往復の通信の間に3000kmも進んでしまう。そのため、フライバイの数時間前までは地上から誘導し、その後に探査機によるオンボード航法誘導制御へ切り替えられる。

オンボード航法誘導制御では、探査機の位置・速度や目標に到達するために必要な速度変化量(ΔV)を計算し、計算結果に基づいてスラスターを噴射する、という一連の動作を探査機上だけで実行する。

こうした自律制御ができることを実証できれば、将来の小惑星衝突のリスクに対応する「プラネタリーディフェンス(地球防衛)」の手法の一つとして、小惑星に人工物を衝突させて軌道を変更する、といった技術の獲得にもつながると期待されている。

オンボード航法誘導制御
オンボード航法誘導制御の説明


JAXAでは、フライバイが行われる7月5日にライブ中継を予定している。中継では、JAXAと民間企業が共働でプロジェクトを行う「宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の一環として、はやぶさ2ミッションのキャラクター「はや2くん」がAIとしてリアルタイム参加し、テレメトリーなどの情報を会話の形で話すといった企画が進められているという。

はや2くん
フライバイのライブ中継には「はや2くん」のAIが参加する企画も進められている

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