すばる望遠鏡観測データの最新版公開、15億天体を収録
【2026年5月13日 すばる望遠鏡】
米・ハワイのマウナケア山頂に設置されている日本の大型望遠鏡「すばる望遠鏡」の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム(HSC; Hyper Suprime-Cam)」は、8億7000万画素の高性能カメラだ。その名のとおり広い視野を誇り、一度の観測で満月9個分に相当する広さの空域を撮影できる。

すばる望遠鏡主焦点に搭載されたHSC(提供:国立天文台/HSC Project)
すばる望遠鏡では毎月の新月期に約10晩がHSCの観測に割り当てられ、一般共同利用観測に活用されている。 この共同利用観測で得られたデータは各観測者が責任を持って整理、補正しており、研究に使える形に整えることによって様々な研究成果へとつながっている。

HSCで撮影されたペガスス座矮小銀河。約300万光年彼方にある。満月の見かけサイズの6割ほどの領域がとらえられている。矮小銀河を透かして遠くの渦巻銀河や楕円銀河も見える(提供:国立天文台、以下同)
こうしたデータは当初の研究目的以外にも、未解決の問題や新たな発見への手がかりとして利用できる可能性を秘めている。そこで国立天文台ハワイ観測所は、共同利用観測のデータを統一的に整約し、誰もが利用できる形で公開する「Hyper Suprime-Cam Legacy Archive(HSCLA)」を立ち上げた。2021年に初データリリース、翌2022年にデータ追加がなされ、今回さらにデータを加えて大幅に拡充されたアーカイブとして公開された。

HSCで撮影されたかみのけ座銀河団の中心部。距離は約4億光年。満月の見かけサイズほどの領域がとらえられている
HSCLAで公開されているデータは空全体の約19%にあたる領域にわたり、およそ15億個の天体について、画像とともに明るさ、色、大きさ、形などの測定結果が含まれている。データ総量は約1ペタバイトにのぼり、日本国内で構築されたものとしては最大級の天文データアーカイブだ。また、画像ビューワーやカタログ検索といった研究支援ツールも提供されている。「本アーカイブが多様な天文学研究の基盤となり、新たな発見や国際的な共同研究の促進に貢献することを期待しています」(元・国立天文台ハワイ観測所 特任専門員 データ整約担当 原沢寿美子さん)。
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