金星探査機「あかつき」の運用終了
【2025年9月18日 JAXA】
金星探査機「あかつき」は、2010年5月に鹿児島県の種子島宇宙センターからH-IIAロケット17号機で打ち上げられた。同年12月に金星周回軌道への投入を目指したものの、当時は成功しなかった。その後、5年以上も太陽に近い過酷な環境を漂った「あかつき」は、2015年12月の再挑戦で姿勢制御エンジンを使って金星を周回する軌道に入った。
「あかつき」の金星周回軌道投入の想像図(提供:JAXA)
観測機器の劣化が心配されていた「あかつき」だが、その後8年以上にわたり、日本初の地球以外の惑星を周回する探査機として、金星大気の観測を続けた。たとえば、南北両半球にまたがる、長さ約1万kmもの巨大な弓状構造をとらえるなどの成果を挙げた。
また,金星では自転をはるかに上回る速さで大気が回転する「高速大気回転(スーパーローテーション)」が存在し、 1960年代の発見以降その維持メカニズムは謎であったが、「あかつき」の観測データを利用した2020年発表の研究により、ついにその維持機構が解明され、長年の謎に終止符が打たれた。この成果は、「あかつき」ミッションの計画当初から目標に掲げていたものだ。
「あかつき」では2024年4月末の運用において、姿勢維持の精度が高くない制御モードが長く続き、通信を確立できなくなった。これまで通信の回復に向けた復旧運用が行われてきたが、復旧が見込めないこと、大幅に設計寿命を超えて後期運用の段階に入っていることから、9月18日午前9時に停波作業が実施され、打ち上げから15年に及ぶ運用が終了した。
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