遠い軌道を回る冷たい系外惑星は広範囲に存在

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重力マイクロレンズ法による系外惑星の観測結果を利用した研究で、恒星から遠い軌道を回る木星のような冷たい惑星は天の川銀河内に普遍的に存在しうることが示された。

【2021年9月3日 大阪大学

1995年に太陽以外の恒星の周りに初めて系外惑星が発見されて以来、現在までに4800個以上の系外惑星が見つかっている。これらの惑星は、探査方法の制約のため、ほとんどが太陽から約3000光年以内の天体に限られている。天の川銀河の半径は約5万光年なので、銀河スケールで見れば発見されてきた系外惑星はほぼ太陽系と同じ位置に存在しているといえる。

では、天の川銀河内のもっと離れた別の場所に惑星は存在するのだろうか。たとえば、太陽系から約2万光年離れた「銀河バルジ」と呼ばれる銀河の中心領域には、太陽系近傍の10倍以上の密度で星が存在している。この領域の惑星は周りの星から大きな影響を受けるはずだが、そのような環境にも惑星は存在するだろうか。

俯瞰した天の川銀河の想像図と冷たい系外惑星系の想像図
天の川銀河を俯瞰した想像図と、銀河バルジにある冷たい系外惑星系の想像図(右下)。青の点々は、マイクロレンズ法の探査領域に存在する冷たい系外惑星の分布イメージ。右上の明るい領域が銀河バルジ(提供:大阪大学リリース)

銀河バルジのような遠方の系外惑星を探す方法としては重力マイクロレンズ法が有効である。これは、惑星の重力によるレンズ効果で向こう側の恒星の光が明るくなる現象から、惑星の存在を突き止めるというもので、惑星系の主星の光を検出する必要がないため、遠い惑星も見つけることが可能である。しかし一方で、惑星までの距離の測定は難しいという課題もある。

NASAゴダード宇宙飛行センター/大阪大学大学院理学研究科の越本直季さんたちの研究チームは、重力マイクロレンズ法で見つかった系外惑星について、惑星系の質量と惑星系までの距離の兼ね合いで決まる「アインシュタイン角半径」という物理量に注目した研究を行った。この量は全ての惑星系に対して偏りのない測定ができ、不正確な測定結果を含む可能性をほぼ排除できるという利点がある。

越本さんたちは重力マイクロレンズ法で見つかった28個の惑星系に対して、測定されたアインシュタイン角半径の分布と、天の川銀河の星のモデルから期待されるアインシュタイン角半径の分布を比較し、銀河中心から太陽系近傍まで徐々に惑星の存在率が変化するというモデルで観測結果を説明できるものを調べた。これらの系は全て、主星から遠いところを公転する冷たい惑星である。

その結果、たとえば銀河中心から3000光年(銀河バルジ内)の星は太陽系近傍の星と比較すると、0.3倍から1.5倍惑星を持ちやすいことがわかった。これまで銀河バルジには惑星は存在しないという可能性も指摘されていたが、今回の研究は、木星や海王星のような中心星から遠い軌道を持つ冷たい惑星が、銀河バルジから太陽系近傍までの広い範囲に存在していることを示すものだ。

銀河バルジには100億歳程度の年老いた星が多い。また、太陽系近傍に比べて星の数密度が非常に高いため、太陽系の惑星とは大きく異なる環境で惑星が形成され進化してきたと考えられる。木星のような遠い軌道の冷たい惑星が、様々な環境下で形成され、長期間安定して存在できることを示唆する今回の成果は、惑星の形成過程や天の川銀河における惑星の形成史を解明する上で重要な手がかりとなるだろう。ひいては、太陽系の形成プロセスや生命が存在する惑星がどれくらい宇宙に存在するのかといった問いの答えにも繋がると期待される。