2020年4月 アトラス彗星が7等前後

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4月から5月ごろ、アトラス彗星(C/2019 Y4)が見やすくなると期待されている。4月中は宵の北西の空に見え7等前後の見込みだ。

5月1日 更新

星ナビ2020年6月号(5月2日発売)で、10ページの特集記事「脆くも崩れた期待 アトラス彗星分裂のシナリオ」を掲載しています。


4月14日 更新

分裂した彗星の核の画像が複数公開されており、崩壊は確実とみられます。4月10日ごろの明るさは9等前後と報告されており、今後明るくなる見込みもほぼなさそうです。

※本記事のタイトルや星図の修正(更新)は行いません。ご了承ください。


4月8日 更新

彗星の核が崩壊したという観測報告が複数あるようです。

引き続き情報をチェックしてみてください。

  • 彗星観測者向け:変化を追うのは大いに意義がありますので、ぜひ継続的に観測、撮影を続けましょう。
  • 一般の天文ファン向け:残念ながら「大彗星」になる可能性はほぼありませんが、4月後半に「双眼鏡を使えば見えるかも」程度にはなるかもしれません。

(以下は4月6日に更新した際の記述です)

星図

4~5月ごろ、アトラス彗星(C/2019 Y4)が見やすくなると期待されている。

4月中は北天のきりん座を移動し、周極星としてほぼ一晩中見ることができる。とくに宵のころには北西の空の比較的高いところに位置しているので見やすい。明るい星が少ない領域なので、星図とよく見比べて双眼鏡で探してみよう。

明るさは7等前後と予想される。3月初めごろの見積もりではもっと明るくなると期待されていたが、3月中旬ごろから増光のペースが停滞している。5月31日の近日点通過(太陽最接近)のころにマイナス等級に達する可能性も指摘されていたが、4月上旬時点での動向を見る限りでは難しそうだ。今後の情報をしっかりチェックし、過度に期待することなく、冷静に推移を追ってみよう。

4~5月の見え方
4~5月の見え方(場所の設定は東京)。日付横の括弧内は予想等級。彗星は模式的に表現している。星図はステラナビゲータで作成。画像クリックで表示拡大

赤道座標の星図
赤道座標の星図。日付横の括弧内は予想等級。彗星は模式的に表現している。星図はステラナビゲータで作成。画像クリックで表示拡大

※予想等級は4月6日時点のものです。COBSの観測データや吉田誠一さんのウェブページの情報などに基づいて計算しており、随時修正する可能性があります。


(以下は4月5日までの解説の抜粋です)

明るさは6等前後と予想されるが、増光のペースが落ちなければもっと明るくなる可能性もあり、肉眼でも見えるようになるかもしれない。最新情報をチェックしておこう。8日が満月、15日が下弦、23日が新月なので、彗星自体も明るくなる月の後半からがとくに観察好機となりそうだ。

アトラス彗星は今後、5月23日に地球と最接近、31日に太陽と最接近し、この前後のころに最も明るくなる。マイナス等級に達する可能性も指摘され、期待が大いに高まっている。ただし、5月下旬ごろには太陽に(見かけ上も)近づいて観察が難しくなることも考えられるので、明るさの推移と共に4月から継続して観察しておきたい。

〈関連リンク〉

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