超高速で回転する超大型渦巻銀河

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天の川銀河の数十倍の質量を持つ超大型渦巻銀河は、質量や直径だけでなく回転速度も非常に大きいことが明らかになった。

【2019年10月24日 HubbleSite

天の川銀河は平均的な渦巻銀河の一つであり、太陽系付近での回転速度は秒速約210kmである。他の渦巻銀河も同様に回転しているが、その速度は星やガスの質量から推定される値よりも大きい。この速度の食い違いはダークマターの存在によって説明されており、星やガス以外にダークマターの質量があることで運動が釣り合っていると考えられている。

米・宇宙望遠鏡科学研究所のPatrick Ogleさんたちは、南アフリカ大型望遠鏡などの観測から、超大型渦巻銀河の回転速度が非常に高速であることを明らかにした。

超大型渦巻銀河は天の川銀河の10~20倍の質量をもち、直径は最大で45万光年ほどで天の川銀河(約10万光年)の4倍以上も大きい渦巻銀河である。これまでに100個ほどしか見つかっておらず、重要なタイプの銀河として注目されている。

大型渦巻銀河と超大型渦巻銀河
(上段)ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた大型渦巻銀河。各銀河の質量は天の川銀河の数倍。(下段)スローン・デジタル・スカイサーベイでとらえられた超大型渦巻銀河。各銀河の質量は天の川銀河の10~20倍。右端の「2MFGC 08638」は太陽40兆個分のダークマターハローに囲まれており、現在知られている超大型渦巻銀河としては最大。画像クリックで表示拡大(提供:(上段)NASA, ESA, P. Ogle and J. DePasquale (STScI)、(下段)SDSS, P. Ogle and J. DePasquale (STScI))

超大型渦巻銀河の回転速度は、最大で秒速570kmに達している。つまり、その超大型渦巻銀河が大量のダークマターハローの中に存在しているということを意味している。最大のものでは太陽40兆個分の質量のダークマターハローが超大型渦巻銀河の周りに広がっているとみられているが、この量は普通は1個の銀河に付随するものではなく、銀河群に存在するダークマターの量だ。

超大型渦巻銀河は、総質量は巨大だが、星の質量はダークマターハローの量に基づく予測よりも小さい。銀河の中へと引き込まれたガス同士が衝突して高温となるために、ガスの温度が下がらず星形成が阻害されているという可能性や、高速回転による遠心力のために、星形成の前段階であるガス雲の崩壊が起こりにくくなっているという可能性が考えられる。とはいえ、超大型渦巻銀河の中では1年に太陽30個分ほどの星が誕生しており、ほとんど星形成が起こっていない巨大楕円銀河とは異なる。

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