初期宇宙の巨大な原始超銀河団「ハイペリオン」

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誕生から約20億年後の宇宙に、太陽の1000兆倍以上もの質量をもつ原始超銀河団が発見された。「ハイペリオン」と名付けられたこの超銀河団は、初期宇宙の構造としては、これまでに知られている中で最大のものだ。

【2018年10月24日 ヨーロッパ南天天文台

ビッグバンから23億年後、現在から約115億年前という初期宇宙に、巨大な原始超銀河団が発見された。ギリシャ神話の巨神の名にあやかり「ハイペリオン」と名付けられたこの超銀河団は、ろくぶんぎ座方向の「COSMOSフィールド」の一角に位置している。

原始超銀河団「ハイペリオン」
原始超銀河団「ハイペリオン」を可視化したもの。赤いスケールバーは近傍宇宙に存在する巨大銀河団の典型的な大きさを表す(提供:ESO/L. Calçada & Olga Cucciati et al.)

ハイペリオンに含まれる質量は、太陽の1000兆倍以上と見積もられている。「誕生から約20億年後という初期宇宙にこれほど莫大な質量を持つ構造が見つかったのは初めてのことです。このような大質量の構造は、普通は時間が経った宇宙、つまり、巨大な構造が進化して形作られる時間がじゅうぶんあった宇宙にあります。ハイペリオンがかなり若い宇宙にあるのは驚きです」(伊・宇宙物理学研究所 Olga Cucciatiさん)。

ハイペリオンは非常に複雑な構造をしており、その内部には銀河のフィラメントでつながった密度の高い領域が少なくとも7つ存在していて、「コロッサス」「テイア」「ヘリオス」など個別の愛称が付けられている。ハイペリオンの構造は近傍の超銀河団とはかなり異なるが、大きさは匹敵するものだ、

「近くの超銀河団では、物質の分布がもっと集中し、はっきりとした構造が見られる傾向にあります。しかしハイペリオンでは、つながり合っている塊の中で物質の分布は均一で、緩くまとまった銀河が集まっているようです」(米・カリフォルニア大学デービス校 Brian Lemauxさん)。

こうした違いが生じたのは時間の長さが原因だろう。近傍の超銀河団は数十億年かけて重力で物質が集まり高密度の部分ができたが、若いハイペリオンにはそれほどの時間がないからだ。

宇宙の歴史のかなり早い段階で巨大サイズにまで進化したハイペリオンは、さらに長い年月の後に、近傍宇宙に存在する「スローン・グレートウォール」や「おとめ座超銀河団」のような巨大構造へと姿を変えると予測される。「ハイペリオンを理解し、近傍に存在する同様の構造とどのように違うのかがわかれば、宇宙の過去と未来の進化に関する知見につながり、超銀河団の形成モデルを試す機会が得られます。ハイペリオンについて詳しく知れば、宇宙の大規模な構造の歴史が明らかにできるでしょう」(Cucciatiさん)。