「はやぶさ2」着陸は10月下旬、候補地点3か所を選定
【2018年8月27日 ファン!ファン!JAXA!】
「はやぶさ2」プロジェクトチームは8月17日に着陸地点の選定会議を開き、「はやぶさ2」が着陸を行う候補地点として、小惑星「リュウグウ」表面の3か所が選定された。3か所とも、「そろばん玉」型をしたリュウグウの「尾根」に当たる赤道に近い地域だ。
「はやぶさ2」の着陸候補地点。(上)中央の「L08」(ピンク色)が最有力の地点で、「L07」「M04」(黄色)が予備の地点。左上の「N6」は小型機「MINERVA-II-1」、右下の「MA-9」は「MASCOT」の投下地点(提供:JAXA、東京大学など)
着陸地点の選定に当たっては、
- 緯度が±30度以内の範囲にあること(=探査機が到達しやすい)
- 地面の斜度が30度以内であること(=太陽電池パネルに太陽光が十分に当たる)
- 直径100m程度の平坦な部分があること(航法誘導の精度が100m程度のため)
- 温度が97℃以下であること
- 岩塊の高さが50cm以下であること(=機体が岩に接触することなく、サンプルを採取するサンプラーホーンが地表に届く)
- リュウグウ全体を代表するような多様なサンプルを得られる可能性が高いこと
などの条件が考慮され、15か所の候補の中から3地点に絞られた。中でも、赤道上にあるエリア「L08」が最有力候補とされている。
ただし、リュウグウの表面にはボルダー(岩塊)が大量に存在していることがわかっていて、最有力候補の「L08」エリアの中にも3m程度の岩が20個以上確認されている。そのため、9月・10月に行われる2回の着陸リハーサルで探査機の誘導精度や着陸地点付近の状況を改めて確認し、3か所の中から最終的な着陸地点を決定することになっている。
また、「はやぶさ2」に搭載されている小型着陸機の投下地点も同時に選定された。JAXA宇宙科学研究所が開発した「MINERVA-II-1」は探査機本体の着陸地点の西側の北半球、ドイツとフランスが共同開発した「MASCOT」は着陸地点の東側の南半球エリアに投下される。
JAXAの小型ローバー「MINERVA-II」のイラスト。画面中央と左が9月に投下される「MINERVA-II-1A/1B」。画面右は来年投下予定の「MINERVA-II-2」(提供:JAXA)
ドイツ・フランスの小型着陸機「MASCOT」のイラスト(提供:JAXA)
今後はまず9月12日に、第1回目の着陸運用「タッチダウン1」の第1リハーサルが実施される。ここでは最有力候補地点の「L08」エリアに向けて上空約30mまで降下する予定だ。
続いて、9月21日に「MINERVA-II-1」の投下、10月3日に「MASCOT」の投下が行われ、10月中旬に「タッチダウン1」の第2リハーサルを実施して最終的な着陸地点を決め、10月下旬に「タッチダウン1」の本番を迎える。
記者説明会の録画(提供:JAXA)
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