「はやぶさ」から「はやぶさ2」へ、受け継がれる旅

このエントリーをはてなブックマークに追加
小惑星探査機「はやぶさ2」が宇宙への旅立ちを目の前にした今この時、先代機「はやぶさ」から受け継がれるものとは。大好評となった「HAYABUSA − BACK TO THE EARTH −」に続く全天周映像作品「HAYABUSA2 − RETURN TO THE UNIVERSE −」が全国で上映中の上坂浩光監督が綴る。

【2014年11月28日 星ナビ12月号

「はやぶさ」から「はやぶさ2」へ 受け継がれる旅

独白/上坂浩光さん(「HAYABUSA2 − RETURN TO THE UNIVERSE −」監督)

星ナビ12月号掲載記事をWeb用に再構成したものです。

「はやぶさ2」を蘇らせた力

「はやぶさ2」ミッションは、事業仕分けや東日本大震災などによって、予算の確保が思うようにできず、その実現が危ぶまれた時期がありました。しかしその時、日本中の「はやぶさ」ファンからミッション実現を望む声が上がったのです。嘆願書や署名運動などが行われた結果、「はやぶさ2」ミッションは機体開発フェーズへと進みます。こんなことが日本の宇宙開発において今まであったでしょうか。

それは「はやぶさ」が、理学的工学的成果を挙げただけでなく、人々の心に何かを残した証ではないかと思います。満身創痍になりながらも成し遂げた地球帰還、諦めずに進んでいった姿に、たくさんの人たちがその想いを重ねました。「はやぶさ」が帰ってこないと部屋の隅で泣く女の子。身内の死を「はやぶさ」と重ね、心の支えにした家族。まだどこかに居る「はやぶさ」を見つけに行くために、宇宙飛行士になることを決意した少年。たくさんの人たちが、さまざまな局面で「はやぶさ」と関わり、「はやぶさ」に、そしてさらに宇宙の広がりへと想いを馳せたのです。

「HAYABUSA2 − RETURN TO THE UNIVERSE −」の1シーン
「HAYABUSA2 − RETURN TO THE UNIVERSE −」の人物登場シーンの最後、黒焦げになったカプセルから「はやぶさ2」が生まれるカットでは、糸川英夫博士のお孫さん家族に出演をお願いしました(画像提供/(有)ライブ・HAYABUSA2製作委員会)

僕も例外ではありません。ウーメラで「はやぶさ」の地球帰還を目の当たりしてから、心の中は、どこかやりきれない気持ちで一杯でした。日本に帰国して2か月後、黒焦げのカプセルと対面した僕は、泣き崩れんばかりの感情の高まりを覚えました。そして、「はやぶさ」ミッションを引き継ぐ探査が行われるときには全力でそれを応援しようと決意したのです。「はやぶさ2ミッションへとその意志を引き継ぐこと」……それを明確に描いてやることによって、大気に消えていった「はやぶさ」の想いを、本当の意味で救える事ができると考えたのです。これが本作を作る大きな原動力になりました。

受け継がれていく宇宙への想い

種子島からH-IIAロケットで打ち上げられる「はやぶさ2」。ロケットの打ち上げシーンに人が感動を覚えるのは、その裏に「宇宙に出ていきたい」と願う、人の強い意志が感じられるからではないかと思います。

ロケット開発の歴史を振り返ると、そこにも「はやぶさ」と同じように、さまざまな苦難がありました。ペンシルロケットから始まった、固体燃料ロケット開発初期の墜落事故。人工衛星打ち上げまでの度重なる失敗。その責任をとり、成功を見ずに現場を去った糸川英夫博士。そしてようやく完成の域に達したM-Vロケットの廃止。昨年打ち上げられたイプシロン初号機は、まさにその後を継ぐものでした。液体燃料ロケットの純国産エンジン、LE-7を巡るさまざまな失敗。今回「はやぶさ2」を打ち上げるH-IIAロケットはまさにその子孫であり、一段目につけられる固体ロケットブースターには、日本の固体燃料ロケット技術が使われています。こうやって想いと技術は引き継がれ、ロケットは開発されてきました。その歴史があったからこそ、「はやぶさ2」は宇宙に旅立っていくことができるのです。

「HAYABUSA2 − RETURN TO THE UNIVERSE −」に登場するロケット
この作品には、たくさんのロケットが登場します。ペンシル、ベビー、K-8-10、L-4S、M-3SII、「はやぶさ」を打ち上げたM-V、そして今回「はやぶさ2」を打ち上げるH-IIAなどなど……、とても社内スタッフだけでは手が足りず、外部の人にもモデリング作業を協力してもらいました(画像提供/(有)ライブ・HAYABUSA2製作委員会)

地球の巨大な重力を振り切るためにロケットを作り、そして人間社会という日常への埋没に打ち勝ち、宇宙をめざしてきた私たち。人は本質的に、宇宙への強い憧れを持っているのだと感じます。それはきっと私たちが地球に誕生した時から続けてきた、外の世界を知りたいと願う強い想い。船に乗って大海に乗り出したように、ロケットを使って宇宙という大海原にこぎ出す……それはとても自然なことだと思えます。

RETURN TO THE UNIVERSE……

「はやぶさ2」が、本来いるべき場所へ戻るのはもうすぐです。

全天周映像作品「HAYABUSA2 − RETURN TO THE UNIVERSE −」 全国の科学館・プラネタリウムで上映中

「HAYABUSA − BACK TO THE EARTH −」「HAYABUSA2 − RETURN TO THE UNIVERSE −」関連グッズ

「HAYABUSA − BACK TO THE EARTH −」のBD/DVDや両作品の両面ポスターを、アストロアーツオンラインショップで販売中です。

「HAYABUSA − BACK TO THE EARTH − 帰還バージョン」BD/DVD

はやぶさ&はやぶさ2 両面ポスター

星ナビ12月号は「はやぶさ2」16ページ特集

星ナビ2014年12月号「はやぶさ2」特集
発売中の月刊星ナビ12月号は「はやぶさ2」特集+両面ポスター付き

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉

〈関連製品・商品〉