月刊ほんナビ 2026年7月号
📕 「星ナビでおなじみ あの人たちの書籍」
紹介:原智子(星ナビ2026年7月号掲載)
本誌先月号の「星の召すまま」で、渡部潤一先生の国立天文台退官と京都産業大学神山宇宙科学研究所所長就任を記念して開かれた「渡部潤一先生の功績に感謝し、新たな門出を祝う会」の様子が詳しく紹介された。その際に記念品として参加者に『三鷹の森 全集』が配られ、筆者もいただいた。実際に同書を手に取ると、ずっしりとした重みとぎっしりと詰まったページから、これまでに刻まれた時間の厚みを感じた。内容は、『星ナビ』創刊(2000年12月号)から2025年12月号まで300回にわたり掲載されたコラム「三鷹の森」の全記事。さらに、コラムに登場した天文現象や研究レポート記事も収まり、先生の専門である太陽系小天体研究にまつわる進展が伝わってくる。長年の本誌読者なら「懐かしい」という記事も多いだろうが、全編を通して読むことで連続短編ドラマを見るような醍醐味が味わえる。個人的には、筆者の夫が先生の下で流星群の予報研究を行っている関係で、観測団に同行して眼視観測を行った思い出がよみがえる。その研究成果と珍道中も掲載されており、先生の研究史の末席にわずかでも加われたことをうれしく思う。同じように「この星祭りは自分も参加した」など、自身の天文活動を重ね合わせて思い出す読者もいるだろう。巻末には特別付録として、先生がかつて執筆した論考「宇宙の公案」(1998年スカイウオッチャー掲載)と「宇宙の公案Ⅱ」(2012年星ナビ掲載)も収録。書店販売はしていないので、アストロアーツ オンラインショップで注文しよう。
そんな渡部先生の妻で、自身も天文家である好恵さんが、自らの半生を軸に“天文学者との日々”をコミックエッセィとして描いたのが『星からさん』。作画は「星の召すまま」連載中の由女さん。彼女の温かなタッチが、主人公のゆるりさん(好恵さんの愛称)にぴったり。結婚以降は、生活シーンや天文活動が『三鷹の森』の内容と重なる場面もあり、いわば姉妹本である。両書を読むことで、二人の暮らしが立体的に浮かび上がる。僭越ながら、こちらにも1コマ登場させていただき感激した。表紙に描かれたように、2061年のハレー彗星を見上げる二人の歳を重ねた笑顔が目に浮かぶ。Amazonで電子版、またはペーパーバック版を購入できる。
この後に紹介するものもすべて、本誌で記事を執筆している方々の書籍。まずは、「KAGAYA通信」でおなじみのKAGAYAさんによる天空案内『天空の贈り物を探して』。四季の星空を季節の自然とともに写し、ニュージーランドや北極圏などその土地ならではの夜空と風景を一枚に収め、流星やオーロラといった天文現象を見事にとらえる。そのすべてがKAGAYAさんの感性で彩られ、臨場感豊かにつづられている。作品が美しいだけでなく、撮影地の地図や写っている星の解説も付されており、天文ファンの心を大満足させてくれる。
次は「ブラック星博士のB級天文学研究室」の室長・ブラック星博士のマネージャーである井上毅さんの『星空をつくる機械 プラネタリウム100年史 増補版』。プラネタリウム誕生100周年に単行本を刊行後、この2年間に得た知見を反映して加筆修正。さらに、補章も加えて文庫化されたものだ。補章といってもボリュームたっぷりの情報が盛り込まれており、すでに単行本を読んだ人もあらためて手に取る価値がある。
最後は、本誌やアストロアーツWEBニュースでさまざまな記事を執筆している中野太郎さんが小熊みどりさんと著した『宇宙の秘密 ひらめき図鑑』。宇宙観の変遷、宇宙の成り立ち、宇宙探査、ダークマター、宇宙開発史について、学生や天文初心者にもわかりやすく解説。親しみやすいイラストや図解を用いて直感的に理解できるよう工夫されており、専門的な内容も楽しく学べる。「ひらめき図鑑」シリーズの宇宙版で、宇宙に触れたときに生まれる「ひらめき」、謎を解き明かす思考や発想に出合う「ひらめき」、それらを追体験できるよう読者を導く仕掛けも好印象だ。















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