急斜面に露出した火星の地下氷、深さ1mのところに存在

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火星の急斜面に露出した、地下に存在する厚い氷の調査から、氷は表面下わずか1mほどの深さから始まって最大で100mほどの深さにまで達していることが明らかになった。氷には過去の気候に関する情報も記録されていると思われる。

【2018年1月17日 NASA JPL

NASAの探査機「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」の観測から、氷が露出している急斜面が8か所見つかった。これらの場所は火星の南北両半球の緯度55~58度付近に位置している。急斜面の断面に見られる氷は厚さ1~2mの氷結した岩石や塵の層で覆われている。

これまでの火星探査で、火星の地下には水の氷が存在していることが明らかになっている。この氷の最上部は表面下約10mより浅いところにあると考えられていたが、正確なところはわかっていなかった。今回の発見により水氷を豊富に含む層は地表からほんの1~2mのところから始まっており、深さは最大で100mにも達していることが明らかにされた。

氷は昔に降った雪が堆積してできたと考えられているが、その氷の露出が見つかった急斜面がどのように形成されたのかはわかっていない。

氷の断面が露出した急斜面
地下の氷床の断面が露出した急斜面(青い色で強調)。画像の上3分の1は下3分の1より標高が約130m高く、その間の急斜面に高さ80mの水氷が露出している(提供:NASA/JPL-Caltech/UA/USGS)

火星の広範囲にわたって地表下の浅いところに水氷が存在していることがわかり、とくに露出が見られる8か所の急斜面では水氷を直接取ってくることも可能だ。いつの日か人類が火星に到達したときに水を手に入れやすくなったといえよう。

氷には資源としての価値以外に、火星の気候の長期変動に関する証拠という科学的な価値もある。火星の自転軸の傾きは数百万年周期で大きく変化し、今よりもっと傾くと火星の中緯度域は氷の蓄積に適した気候条件となる。急斜面の一部に見られる縞模様や色の違いは、様々な気候条件の下で氷や塵の割合が変化しながら層が蓄積されてきた可能性を示唆している。

「氷が露出した急斜面のうちの一つに降り立ってサンプルが採取できれば、火星の気候の歴史に関する詳細な情報が得られるでしょう。」(MRO副プロジェクト・サイエンティスト Leslie Tamppariさん)。

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